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マックス・ウェーバー入門

マックス・ウェーバー入門

牧野雅彦
シリーズ・巻次 平凡社新書  310
出版年月 2006/02
ISBN 9784582853100
Cコード・NDCコード 0236   NDC 361.234
判型・ページ数 新書   216ページ
在庫 現在品切中
定価814円(本体740円+税)

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この本の内容
目次
歴史の意味とは何か、学問はどんな役割を果たすべきなのか。現代社会の開始期に生き、根源的な問いを発し続けたウェーバーの思考を、いま改めてたどりなおす。 現代社会科学の基礎を築いたマックス・ウェーバー。
その問いかけの根源性は、21世紀の今も
私たちを刺激してやまない。
歴史とは何か、学問の役割はどこにあるのか?
「世界の魔術からの解放」は人間に何をもたらし、
その果ての近代合理主義はどこまで普遍的なのか?
同時代の思潮のなかに位置づけながら、
いま改めて、ウェーバー思想の全体像をさぐる。
1 はじめに――ウェーバーをどう読むか 
同時代の論争的文脈/二〇世紀社会科学の再検討へ

2 ウェーバーとはどういう人か
  生い立ちと学問的出発/精神の病/経済学という学問/ハイデルベルクへの転任  アイデンティティの再確認としての方法論

3 歴史と政治――ウェーバー方法論の知的背景 その一
  ランケとドイツ歴史主義/『歴史・政治雑誌』/歴史と政治の類似と相違
  治療学としての政治経済学/世界史的観照の立場/ランケの課題の継承

4 政治史から国民経済学へ――ウェーバー方法論の知的背景 その二
  自由主義と一八四八年革命/ドイツ統一と自由主義の自己批判
政治的歴史学と歴史的政治学/国民経済学の興隆
バウムガルテン対トライチュケ論争/青年ウェーバー――経済学という選択

5 歴史学派経済学の方法的問題とは何か
  難解な論文『ロッシャーとクニース』/ロッシャーと歴史学派経済学の成立
古代と近代/クニースのロッシャー批判
ウェーバー方法論の課題――歴史主義の再建/「現実科学」としての社会科学
価値理念による歴史的対象の選択/政策科学の根本問題
価値選択に対する学問の寄与/価値をめぐる討議の意味

6 歴史への問い――古典古代と近代ヨーロッパ
  後期歴史学派の発展段階論/古代資本主義論争
民族の興隆・衰退とその世界史的連関
世界史は進歩か――ヘーゲル歴史哲学の批判/ヨーロッパ近代の起源

7 「資本主義の精神」の起源
  ゾンバルト『近代資本主義』初版/資本主義の精神とプロテスタンティズム
ユダヤ人と資本主義の精神/ベロウ「近代資本主義の成立」
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』/職業という観念
予定説と禁欲/限定された課題/古代へ 

8 世界史としての古代史 
  マイヤー『古代史』の世界/マイヤーの方法の批判/比較の基準としての都市 
  古典古代とヨーロッパ中世との比較/視野の拡大――アジアとヨーロッパ
 
9 ウェーバー宗教社会学の世界 その一――中国とインド
 知識人とその社会/中国文人官僚とインドのバラモン祭司
ニーチェ『悲劇の誕生』とウェーバー インド・中国研究とウェーバー
ヨーロッパの歴史的起源へ
    
10 ウェーバー宗教社会学の世界 その二――古代ユダヤ教
マイヤーの古代ユダヤ教研究/バビロン捕囚からエルサレムへの帰還
ウェルハウゼンの旧約聖書研究/祭儀の再編と道徳的純化
ディオニュソス的狂躁道との闘争/ふたたび『悲劇の誕生』との関係
「世界の魔術からの解放」/『古代ユダヤ教』の位置

11 ヨーロッパの世界史的位置
 残された課題/ヒンツェの比較国制史/「ロッシャーの政治的発展理論」
 国家形成とその歴史的基盤/ローマからの遺産/ヒンツェとウェーバー
 身分制議会の二類型/戦中の政治構想との関連/連邦制の問題
 戦後の大統領制構想/イェリネク『人権宣言論』

12 ウェーバーと現代
 歴史をどう見るか/近代合理主義文化はどこまで普遍的か
 アメリカとロシア/ひらかれた問い/歴史の意味、学問の意味

あとがき
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