日本でいちばん平凡な名前の出版社
知られざる福沢諭吉

知られざる福沢諭吉

下級武士から成り上がった男

礫川 全次
シリーズ・巻次 平凡社新書  348
出版年月 2006/11
ISBN 9784582853483
Cコード・NDCコード 0221   NDC 210.6
判型・ページ数 新書   248ページ
在庫 現在品切中
定価858円(本体780円+税)

この本に対するお問い合わせ・感想

この本の内容
目次
福沢諭吉は、啓蒙思想家として高く評価されると同時に、生前からそのイデオロギーや人格の面から批判も多い人物であった。下級武士からのしあがった諭吉の大胆にして小心な実像を描く。 近代日本をリードした啓蒙思想家であり、
今でも「偉人」として評価される福沢諭吉。
しかし同時に彼は、拝金主義やほら吹き、変節漢といった
人格的批判も多く受けた人物だった。
下級武士から幕臣、啓蒙思想家へと異例の出世をした
福沢の真の姿はいかなるものだったのか?
福沢に対する人格的批判の当否を検証し、
「成り上がり者」福沢諭吉の心性を探る。
序章 福沢諭吉の知られざる一面
拝金主義者・福沢諭吉/「福沢屋諭吉」/攻撃される福沢/福沢諭吉と品格
福沢の品格を問う理由

第一章 ペル氏築城書盗写事件
遊学とその中断/二百丁の原書を盗写/人生を左右した大事件/貧家に生まれた悲哀

第二章 下級武士・福沢諭吉
福沢百助の古銭/諭吉の出自/上士・下士の分界/卑しき商工の風あり
下士のメンタリティへの誇り

第三章 苦学と逸話
砲術家の食客となる/門付けで施しを受ける/贋手紙を書く/大阪で豚を殺す
先祖ハ必ズ寒族ノ一小民ナリ

第四章 慶応三年の謹慎事件
小野使節団と「手数料請求」事件/小野・松本の告発文/藤井哲博氏の福沢批判
慶応関係者の反論/福沢の釈明と反省/事件の決着/開きなおりと放言
小野友五郎と品川台場/『夜明け前』と洋学者

第五章 明治維新と慶応義塾
慶応義塾と長崎出島/福沢における無節操/脇屋卯三郎切腹事件
「忠実な幕臣」時代の意味/小幡甚三郎の美談/速やかに火に投じて可なり
慶応義塾と甚三郎の客死

第六章 学商・福沢諭吉
焉用氏とは誰か/福沢を攻撃した本/明治三年の福沢諭吉/福山誠之館と福沢
日欧文化史の考証家/著作から見た渡辺修次郎/明治十一年の福沢評

第七章 商業立国とマンモニズム
生麦事件と卑商意識/啓蒙家の誕生/『農商弁』の先見性/『唐人往来』の独創性
初期の出版事業から/親鸞の顰にならう/福沢のいらだち/マンモニズムの宣教師

第八章 脱亜の代償
英国人民の圧政を羨む/脱亜の日清戦争/脱亜論の原点/脱亜の国内事情
内村鑑三の脱亜批判/内村鑑三の大和魂批判/屈するを以って先見者なりと信ず

終章 福沢諭吉論のために
福沢諭吉の暗い部分/「福沢惚れ」によらない研究/楠公権助論の由来

おわりに
年譜