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論壇の戦後史

論壇の戦後史

1945-1970

奥 武則
シリーズ・巻次 平凡社新書  373
出版年月 2007/05
ISBN 9784582853735
Cコード・NDCコード 0200   NDC 070
判型・ページ数 新書   264ページ
在庫 現在品切中
定価880円(本体800円+税)

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この本の内容
目次
終戦まもなく、論壇誌が次々と創刊・復刊された。岩波書店の『世界』をはじめ、論壇誌の興亡とそこを舞台に活躍した丸山眞男や清水幾太郎ら知識人の動きから、戦後を照射する。半藤一利氏推薦! 戦後の日本は「悔恨共同体」から始まった。
終戦直後、清水幾太郎らが作った二十世紀研究所には
林健太郎、丸山眞男、福田恒存など、
その後立場を異にする人たちが集まっていた。
以後、彼らが活躍する舞台となる論壇誌は、
いかなる問題をどのように論じてきたのか。
論壇が存在感を持っていた時代を
鮮やかに描き、「戦後」に新たな光をあてる。
はしがき

序章 一九八八年八月一二日 四谷霊廟
抜かれた訃報/一般会葬者の中の丸山眞男/四人が共有した「同じ場所」

第一章 「悔恨共同体」からの出発――二十世紀研究所のこと
兵隊靴の丸山眞男/自転車でやってきた大河内一男/そうそうたる所員たち
活発な啓蒙活動を展開/講義録などの出版も
「悔恨共同体」としての二十世紀研究所/「悔恨共同体」の広がり

第二章 「総合雑誌」の時代――『世界』創刊のころ
講談社にまかせておけない/同心会のオールド・リベラリストたち
「新日本の文化建設のために」/金ボタンの秀才のような雑誌
活字に飢えていた時代/二時間で売り切れ?/伝統二誌も復刊
『展望』と『思想の科学』

第三章 天皇・天皇制――津田左右吉と丸山眞男
時代は激動していた/「われらの天皇」を愛さねばならぬ/羽仁五郎との「大げんか」
八ページにわたる「釈明」/丸山論文の衝撃/天皇制の精神構造に光/津田と丸山

第四章 平和問題談話会――主張する『世界』
トップの独走の『世界』/俳句は「第二芸術」/GHQの検閲
平和問題談話会の誕生/知識人集団として/全面講和を主張/朝鮮戦争と『世界』
「三たび平和について」

第五章 『世界』の時代――講和から「六〇年安保」へ
十五万部完売の講和問題特集号/素直な「愛国心」と通い合う
小泉信三の批判で論争に/『世界』の読者層/山川均の活躍/清水幾太郎と「内灘」
素朴なナショナリズムの心情/スターリン批判の衝撃
ソ連介入を正当化――ハンガリー事件/「六〇年安保」へ

第六章 政治の季節――「六〇年安保」と論壇
矢継ぎ早に「特集」/警職法闘争の「成功」体験/五月一九日の強行採決
「いまこそ国会へ」/自然承認――その夜の清水と丸山/「復初の説」「民主か独裁か」
清水と吉本の「総括」/江藤淳の場合/福田恆存の進歩派批判
戦後日本の「通過儀礼」

第七章 高度成長――台頭する現実主義
加藤秀俊「中間文化論」/「もはや「戦後」ではない」/「大衆社会」をめぐる論争
「大衆天皇制論」/テロリズムの恐怖/『思想の科学』の「天皇制特集号」廃棄事件
予測を超えた高度成長/高坂正堯のデビュー/「権力政治」の現実
永井陽之助『平和の代償』

第八章 『朝日ジャーナル』の時代――ベトナム戦争・大学騒乱
ベトナム戦争の拡大とベ平連/小田実の「新しさ」/「個」へのこだわり
ベ平連から「全共闘」へ/『朝日ジャーナル』の時代/全共闘に寄り添って
「造反教官」たち/『現代の眼』と羽仁五郎/時代とずれてしまった『世界』
サブカル路線実らず

終章 「ポスト・戦後」の時代――論壇のゆくえ
二つの「戦後」/「ポスト・戦後」という視点/長い転形期の後/論壇のゆくえ

補章 戦後「保守系・右派系雑誌」の系譜と現在
「世界」に載らないような言論が載る雑誌/オールド・リベラリストの受け皿
相対化が得意な『文藝春秋』/「世の中どこか間違っている」
「ふつうの国」の「ふつうの言論」?

あとがき
参考文献一覧
関連年表
人名索引