日本でいちばん平凡な名前の出版社
将軍家御典医の娘が語る江戸の面影

将軍家御典医の娘が語る江戸の面影

安藤 優一郎
シリーズ・巻次 平凡社新書  419
出版年月 2008/05
ISBN 9784582854190
Cコード・NDCコード 0221   NDC 210.5
判型・ページ数 新書   200ページ
在庫 現在品切中
定価770円(本体700円+税)

この本に対するお問い合わせ・感想

この本の内容
目次
“江戸はあんまり泰平に酔っていました”──14歳で維新に遇った御典医の娘みね。福沢諭吉などとの思い出と共に彼女が語る「江戸の最後」とは。知られざる名著『名ごりの夢』を読む! “姫(ひい)さま、姫さま”と、何不自由なく過ごしていた御典医桂川甫周の娘みね。
蘭医の父のもとには、最新の西洋の情報が集まり、それを求めて、福沢諭吉をはじめとする若き洋学者たちが競うように訪れていた。彼らに遊んでもらったり、花火や芝居などに熱中したりした楽しい毎日。しかし、そんな幸せな日々は、明治維新とともに終わりを告げて──。
江戸から明治へと、ひとりの“姫さま”がたどった波乱の人生が、激動の時代とともに鮮やかによみがえる。
知られざる名著『名ごりの夢』を読む!
プロローグ

第一章 福沢諭吉に背負われて
一、奥医師の家庭
築地に生まれる/仲人は将軍/母の死/登城の晴れ姿/奥医師のご利益/
大名からの莫大な謝礼/たいへんな膏薬作り
二、蘭学サロン桂川家
桂川家の特権/『解体新書』の誕生/洋学者のたまり場/桂川の山吹汁/
『ズーフ・ハルマ』の出版
三、福沢諭吉がやって来た
桂川の松葉攻め/諭吉の家/咸臨丸に乗る/諭吉のアメリカ土産

第二章 なつかしき江戸の情景
一、幼き頃の隅田川
水の都・江戸/屋根船と三味線の音色/宇宙第一の両国橋
二、夢見心地の芝居見物
芝居前夜のときめき/夢の世界へ/芝居小屋の食べ物
三、浜御殿をかけめぐる
七つのお祝い/叔母との別れ/逃避行/浜御殿にたどりつく/おはまの梅/浜の松風

第三章 お姫さまの御維新
一、桂川家閉門
桜田門外事変の日/井伊家の泣き寝入り/戦乱の時代へ/釘付けされた窓/婿養子
二、幕府滅亡
叔父からの長い手紙/徳川のゆくすえ/鳥羽・伏見の戦い
三、江戸城明け渡し
官軍、江戸に向かう/三膳目のお汁粉/武士の娘/鉄砲の始末

第四章 武士でも姫でもなくなって
一、屋敷を取り上げられる
静岡藩の誕生/亀との別れ/油を買いに出かける/薬屋を手伝う
二、徳川家臣団の離散
士族の商法/叔母との生き別れ/椎茸の味/御蔵島の真心
三、結婚までの日々
父と離れる/医学校での生活/『世界国尽』の誕生/お見合いの失敗/今泉利春と結婚

第五章 薩長にお辞儀なんかするもんか
一、波乱の新婚生活
京都旅行/徳川嫌いの夫/佐賀の乱に巻き込まれる/拘束された夫のもとへ
二、反政府運動のうねり
夫のやけ酒/夫婦喧嘩/西南戦争

第六章 すべては夢のように
一、新たな人生のはじまり
銀座煉瓦街に引っ越す/失意の叔父/裏方に徹する/父の幽霊/それぞれの生き方
二、夫を西郷隆盛のもとへ
検事の妻に/最後の任地鹿児島/武士は死んでも桜色/南洲墓地に葬る

エピローグ
あとがき
今泉(桂川)みね関係年表