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ベートーヴェンの生涯

ベートーヴェンの生涯

青木 やよひ
シリーズ・巻次 平凡社新書  502
出版年月 2009/12
ISBN 9784582855029
Cコード・NDCコード 0273   NDC 762.34
判型・ページ数 新書   320ページ
在庫 現在品切中
定価1,012円(本体920円+税)

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この本の内容
目次
長年の研究成果をすべて投入した渾身の力作。手紙・日記・会話帳など豊富な資料を駆使して、徹底的な自由人ベートーヴェンの姿を臨場感豊かに描き出す。異色の年表を付す。 ベートーヴェン研究50年余の総てを投入した渾身の力作。はからずも遺著となる。
手紙、日記、会話帳、友人たちの証言など最新の資料を駆使して、女性を愛し、駄洒落を好み、甥への愛に振り回される、隣人ベートーヴェンをいきいきと描きだす。また、バッハ、ヘンデル、モーツァルトの音楽とどのように出会い、カントの哲学やインド思想をいかに自らのものとしたのか――従来の諸説を大幅に書き換え、まったく新しいベートーヴェン像を提出する。
はじめに

第一章 ボン時代のベートーヴェン
一 家系と生い立ち
選帝侯治下のボンとフランドル出身の祖父/宮廷楽長とその息子/両親とベートーヴェンの誕生/祖父の死とヨーハンの蹉跌/「神童」デビューと年齢詐称/器楽奏者の技をみがく
二 作曲家への道
師としてのネーフェ/ブロイニング家の人々/ベートーヴェン親子の宮廷記録/母とその死/モーツァルトとの出会い
三 変革の息吹の中で
新選帝侯と青春の訪れ/先進的な読書クラブの人々とフランス革命/十九歳を前に家長となる
四 巣立ちゆく音楽家
ヴァルトシュタインとの交遊と二つのカンタータ/楽しい船旅とピアニスト・デビュー/歌曲と初恋の人/旅立ち

第二章 ウィーン生活の光と影
一 幸運の星の下で
多文化国家の首都/ウィーンでの最初のパトロン/社交界の寵児となる/ハイドンおよび他の先生たち
二 激動の時代の始まりと名声の確立
宮廷の崩壊と未来への挑戦/公開演奏会デビュー/声楽曲、オペラ、そして女性歌手/自由な異性交際とその人生哲学/演奏旅行の成功とその余韻
三 新しい音楽概念・新しい音楽仲間
ナポレオンの二面性とベートーヴェンの立場/ベルナドットとクロイツァー/友人たち・仲間たち・敵対者たち
四 難聴という不吉な陰
ベートーヴェンと難聴/『悲愴』の誕生とその後/死と回生――「ハイリゲンシュタットの遺書」

第三章 豊かな創造の時期
一 絶望から「新しい道へ」
『エロイカ変奏曲』/舞台音楽への挑戦/『エロイカ』の誕生
二 巨匠のプロフィール
弟子たちの見たベートーヴェン/ブロイニングとの諍いと和解/テレーゼとヨゼフィーネ
三 検閲と戦乱のはざまで
『レオノーレ』/時代の不安と同時代人からの不評/リヒノフスキー侯との不和/女性ピアニストたちとの交遊
四 友愛のとき
〈ドロテーア・ツェツィーリア〉とよばれた人/シュトライヒャー夫妻とピアノの歴史/〈ファルスタッフ〉とよばれたヴァイオリニスト/エルデーディ夫人と年金契約/『告別』と『皇帝』と/結婚申込みのいきさつ

第四章 栄光と絶望の『日記』
一 人生の星の時間
ベッティーナの登場/〈トーニ〉と慰めの音楽/ゲーテへの接近/謎のボヘミア旅行/一八一二年・夏の輝き/ゲーテとの出会い
二 挫折と名声の下で
『日記』の始まり/ベートーヴェンの教養とインド思想/ウィーン会議のあと先/訪問者たち
三 復活への道
立ち直りのきざしと甥の問題/『遥かなる恋人に』と作品101の『ピアノ・ソナタ』/孤独と死の影の下で/苦難の終わり

第五章 人類へのメッセージ
一 内と外との平和を求めて
『ミサ・ソレムニス』と最後の三つの『ピアノ・ソナタ』/メッテルニヒ体制の下で/三人の秘書役と『伝記』の問題
二 『ミサ』から『第九』へ
ベートーヴェンと〈神〉/『第九』の成り立ち/『第九』の完成と初演/束の間のくつろぎ、ウェーバーの来訪、食卓
三 〈神なるもの〉への感謝の歌
最後の弦楽四重奏曲の世界/カールの自殺未遂事件/最後の住まいと少年〈アリエル〉
四 病床の日々と死後の栄光
最後の旅と死に至る病/病床の慰め/病気の進行/フンメルの見舞い/「芝居は終わった(コメディア・フィニタ・エスト)」/死後の栄光と後継者たち

あとがき
略年表
事項索引
人名索引