シベリア抑留とは日本人にとって何だったのか。当時の国際状況をふまえ、スターリンの意図、日本政府の対ソ交渉の錯誤といった側面から、今日に続く悲劇を生み出した本質とその淵源に迫る。
「東京ダモイ」(東京へ帰還だ)――。
今から六五年前、満州で関東軍将校・兵士・民間人が
ソ連軍に拉致・連行され、強制労働を科された。
推定五万三〇〇〇人の死者のうち、
約四割が埋葬場所さえ未だ分からないという
悲劇はなぜ起きたのか。
当時の情勢を踏まえ、日ソ両国の動きを詳細に検証。
今日に続くシベリア抑留問題の本質とその淵源に迫る。
今から六五年前、満州で関東軍将校・兵士・民間人が
ソ連軍に拉致・連行され、強制労働を科された。
推定五万三〇〇〇人の死者のうち、
約四割が埋葬場所さえ未だ分からないという
悲劇はなぜ起きたのか。
当時の情勢を踏まえ、日ソ両国の動きを詳細に検証。
今日に続くシベリア抑留問題の本質とその淵源に迫る。
まえがき
第一章 国家補償を求める抑留者たち
元抑留者にとっての「忌むべき日」/「平和祈念事業特別基金」の発足
野党五党による「シベリア特措法案」の提出/政権交代で見えてきた光明
第二章 極東ソ連軍の満州侵攻
ソ連の対日宣戦布告/スターリンの反日演説/日ソ中立条約延長せず/関東軍の敗走
日増しに拡大した反満抗日闘争/在満居留民が被った悲劇/在満居留民を見棄てた関東軍
第三章 スターリン秘密指令
ジャリコーウォ会談/瀬島の「労務提供」発言はあったのか
シベリア抑留指令を裏付ける文書/ルーズベルトがスターリンに投げた餌
幻に終わった「日本領土分割案」/シベリア抑留はスターリンの既定方針だった
満州駐留におけるソ連の不法行為/日ソ戦の損益勘定/日本の領土を奪う
第四章 捕虜の収容所生活
「東京ダモイ」/ソ連における外国の軍事捕虜/労働者不足の穴埋めに使われた抑留者
ソ連の収容所制度/脱走はまず不可能/日本人捕虜に科せられた労働は様々
労働現場で「九死に一生」/ノルマの実態
第五章 反軍闘争と民主運動
日本軍将校に虐殺された下級兵士/戦争が終わっても続いた「兵隊地獄」
収容所当局は旧軍の階級制度を利用した/日本人捕虜の思想工作
反ファシスト教育講座/終戦まもなく創刊された「日本新聞」
「シベリア天皇」の異名をとった男/「民主グループ」が所内の指導権を確立
日本人同士による吊し上げや密告/「スターリン大元帥への感謝決議運動」
第六章 対ソ交渉の錯誤
近衛特使の対ソ派遣/近衛が策定した「和平交渉の要綱」/「大盤振る舞い」の対ソ条件あえなく潰えた近衛の対ソ派遣/「日本に対して特別の『つけ』がある
極秘に進められた新・対ソ交渉/防衛庁にも残されていない「朝枝文書」
ワシレフスキー元帥への陳述書/関東軍トップの最大の過誤/「事実上の人身売買」
第七章 捕虜蔑視という呪縛
捕虜を蔑視する思想/本国帰還を拒んだノモンハンの日本人捕虜
五〇〇人のノモンハン捕虜はソ連に帰化した/「戦陣訓」の示達
「今次敵に降る者は捕虜と見なさず」/ソ連軍における捕虜処遇の原則
「捕虜ではなく抑留者」という謬説/歴史資料としての『俘虜記』
労働賃金から給養費を天引き/日ソ共同宣言で未払い賃金の請求根拠は失われた
第八章「瀬島疑惑」の謎を解く
墓場に持っていかれた「歴史の真相」/電報握りつぶし事件/東京裁判出廷をめぐる嘘
証人選定の三原則/草場中将の服毒自殺/天皇の戦争責任をめぐる証言
自筆調書を書かされる羽目に/モスクワ密使体験/「重労働二十五年に処す」
「抑留十一年の年譜」の信憑性/モスクワで特殊訓練を受けたか/
二律背反する価値観が同居
第九章 全面解決への道
「戦争被害受忍論」の域を出ない判決/特別措置法案の内容
難しい法案提出のタイミング
朝鮮人元抑留兵は特措法の対象外/権利回復を求める朝鮮人兵士の抑留体験
「要監視人」というレッテル/社会復帰への苦難の道/日本政府の無責任な回答
「不作為の罪」を逃げる外務省/元抑留者が成し遂げた「歴史記録の金字塔」
ロシア国立軍事公文書館で発掘された新資料/白樺林の「土饅頭」の下に眠る捕虜の悲哀元抑留者は今、何を思うのか
あとがき
参考文献
関連年表
主要人名索引
第一章 国家補償を求める抑留者たち
元抑留者にとっての「忌むべき日」/「平和祈念事業特別基金」の発足
野党五党による「シベリア特措法案」の提出/政権交代で見えてきた光明
第二章 極東ソ連軍の満州侵攻
ソ連の対日宣戦布告/スターリンの反日演説/日ソ中立条約延長せず/関東軍の敗走
日増しに拡大した反満抗日闘争/在満居留民が被った悲劇/在満居留民を見棄てた関東軍
第三章 スターリン秘密指令
ジャリコーウォ会談/瀬島の「労務提供」発言はあったのか
シベリア抑留指令を裏付ける文書/ルーズベルトがスターリンに投げた餌
幻に終わった「日本領土分割案」/シベリア抑留はスターリンの既定方針だった
満州駐留におけるソ連の不法行為/日ソ戦の損益勘定/日本の領土を奪う
第四章 捕虜の収容所生活
「東京ダモイ」/ソ連における外国の軍事捕虜/労働者不足の穴埋めに使われた抑留者
ソ連の収容所制度/脱走はまず不可能/日本人捕虜に科せられた労働は様々
労働現場で「九死に一生」/ノルマの実態
第五章 反軍闘争と民主運動
日本軍将校に虐殺された下級兵士/戦争が終わっても続いた「兵隊地獄」
収容所当局は旧軍の階級制度を利用した/日本人捕虜の思想工作
反ファシスト教育講座/終戦まもなく創刊された「日本新聞」
「シベリア天皇」の異名をとった男/「民主グループ」が所内の指導権を確立
日本人同士による吊し上げや密告/「スターリン大元帥への感謝決議運動」
第六章 対ソ交渉の錯誤
近衛特使の対ソ派遣/近衛が策定した「和平交渉の要綱」/「大盤振る舞い」の対ソ条件あえなく潰えた近衛の対ソ派遣/「日本に対して特別の『つけ』がある
極秘に進められた新・対ソ交渉/防衛庁にも残されていない「朝枝文書」
ワシレフスキー元帥への陳述書/関東軍トップの最大の過誤/「事実上の人身売買」
第七章 捕虜蔑視という呪縛
捕虜を蔑視する思想/本国帰還を拒んだノモンハンの日本人捕虜
五〇〇人のノモンハン捕虜はソ連に帰化した/「戦陣訓」の示達
「今次敵に降る者は捕虜と見なさず」/ソ連軍における捕虜処遇の原則
「捕虜ではなく抑留者」という謬説/歴史資料としての『俘虜記』
労働賃金から給養費を天引き/日ソ共同宣言で未払い賃金の請求根拠は失われた
第八章「瀬島疑惑」の謎を解く
墓場に持っていかれた「歴史の真相」/電報握りつぶし事件/東京裁判出廷をめぐる嘘
証人選定の三原則/草場中将の服毒自殺/天皇の戦争責任をめぐる証言
自筆調書を書かされる羽目に/モスクワ密使体験/「重労働二十五年に処す」
「抑留十一年の年譜」の信憑性/モスクワで特殊訓練を受けたか/
二律背反する価値観が同居
第九章 全面解決への道
「戦争被害受忍論」の域を出ない判決/特別措置法案の内容
難しい法案提出のタイミング
朝鮮人元抑留兵は特措法の対象外/権利回復を求める朝鮮人兵士の抑留体験
「要監視人」というレッテル/社会復帰への苦難の道/日本政府の無責任な回答
「不作為の罪」を逃げる外務省/元抑留者が成し遂げた「歴史記録の金字塔」
ロシア国立軍事公文書館で発掘された新資料/白樺林の「土饅頭」の下に眠る捕虜の悲哀元抑留者は今、何を思うのか
あとがき
参考文献
関連年表
主要人名索引