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熟慮ジャーナリズム

熟慮ジャーナリズム

「論壇記者」の体験から

奥 武則
シリーズ・巻次 平凡社新書  549
出版年月 2010/10
ISBN 9784582855494
Cコード・NDCコード 0200   NDC 070
判型・ページ数 新書   232ページ
在庫 現在品切中
定価836円(本体760円+税)

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この本の内容
目次
現象の奥にあるものを見つめる――。論壇記者としての道を歩んできた著者による体験的新聞論。新聞の危機が叫ばれるなか、そのメディアとしての新しい可能性を探る。 唯一の「正解」を見出すのが難しい問題が山積している。
そんな時代に新聞はいかなる役割を果たすべきか。
盛んにいわれる「新聞危機」をどう乗り越えるか。
書評や論壇担当といった、一般的な新聞記者像とは
異なる経歴を歩んできた著者が、自らの体験を軸に、
これからの目指すべき新聞の姿を指し示す。
現象の奥にあるものを見つめる――。
「論壇記者」の体験から新聞の可能性を探る。
はしがき
「元新聞記者」として/論壇記者を再考する/「もう一つの新聞」に向けて

第一章 「でもしか記者」の記
1 ノンポリ学生の日々
「でもしか」の意味/機動隊に守られた入試/退屈だった授業/「トポス」としての大学
藤原先生との出会い/悩んだ末に新聞社に
2 支局記者として
「旅路の果て」から/「日本は広い」/宿直室から安アパートへ/「天国と地獄」の四年
毎日のように死体を見る/「情報ゲッター」落第/整理部に異動
3 「新聞を作る」ということ
「新聞記者廃業」の思い/新聞紙面というモノ/「徒弟奉公」から/そこは「工場」だった
整理記者は職人/いまも「悪夢」にうなされる/「新聞作り」のエートス/学芸記者になる
ゆったりと時は流れ/いざ、東京へ

第二章 「論壇記者」以前
1 書評欄担当のころ
百数十人をインタビュー/網野善彦さんのこと/「壁の向こう」と「壁のこっち」
書評欄の作られ方/多彩な書評委員たち/二次会は屋台に流れて
2 論壇時評という場
加藤周一の「デビュー」/江藤淳の辛辣な時評/「圧力」があった?/「素人路線」の二人
「座談会」のスタイルに/中野の問題提起/論壇時評がなくなる/加藤の再登場、そして
3 高瀬善夫さんのこと
伝説の論壇記者/「社会学界展望」を読む/外部筆者との違い/「時代」を切り取る力業
ベトナム戦争、大学騒乱、公害……/思想・学問へのまなざし/山口昌男の衝撃
何を受け継ぐか/晩年は歌人として
第三章 論壇記者的日常
1 「ポスト・戦後」の論壇
「壁の向こう」の出来事/パソコン・ファックス以前/「今月の雑誌から」を書く
「市場」か「国家」か/「開国」か「鎖国」か/大前研一の出現/東大の「中沢問題」
変わらない日本の政治/ポスト冷戦の時代へ
2 「昭和」終焉のあとさき
緊急招集がかかった日/その日、文化面はあった/「崩御」をめぐって
「〈昭和〉──私にとっての」/「昭和天皇とその時代」/近代史の中の天皇
「大嘗祭を考える」を書く/うれしかった評価
3 新聞記者廃業まで
「岩波書店と文藝春秋」のころ/司馬さんのこと/二つの訃報
「壁の向こう」から論説室へ/大学教師に転身

第四章 「熟慮ジャーナリズム」へ
1 陸羯南という人
新聞が「ニューメディア」だったころ/「政論記者」として/「論壇=公共空間」の誕生
「政論新聞の時代」の後で/至重の職と為す/「独立新聞」の矜持
道理を主人と為し/「政事家の器械」を否定/プロフェッションとしての新聞記者
2 「新しい論壇記者」を考える
多様な論壇記者たち/「YAHOO!」の画面から/「鉄心」のニュース
ニュースの三層構造/「社会の木鐸」を超えて
3 「熟議民主主義」を支えるもの
駆け出し記者の体験から/「時間」を奪われた記者たち/「アスベスト被害報道」の事例
「告発型報道」の危うさ/問い直される「民主主義」/熟議民主主義とは何か
「熟慮ジャーナリズム」に向けて

あとがき