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葬式仏教の誕生

葬式仏教の誕生

中世の仏教革命

松尾剛次
シリーズ・巻次 平凡社新書  600
出版年月 2011/08
ISBN 9784582856002
Cコード・NDCコード 0215   NDC 180
判型・ページ数 新書   176ページ
在庫 在庫あり
この本の内容
目次
不要の声も多い葬式だが、そもそもは穢れを恐れるあまり、風葬・遺棄葬が当たり前だった中世に、人々が強く求め、仏教がそれに応えたものだった──日本人は“弔い”をいかに獲得したか。 葬式については、昔から不要の声が多くあがっていた。2010年に刊行された『葬式は、要らない』(島田裕巳)は、そうした声を拾うようによく売れ、「葬式仏教」をめぐって、不満や怒りの声が表立って聞こえるようになった。確かに、戒名一行で「数十万円也」の現代の仏教のあり方には、改善しなければならない余地が多くある。だが、そもそも「仏教が葬儀を行う」「墓石を建てる」ようになったのは、なぜなのだろうか。
古代から、日本においては「穢れ」が忌み嫌われていた。遺体に近づいても穢れてしまうため、中世まで、風葬・遺棄葬が当たり前だった。こうした状況のなか、人々は強く葬儀を求めたのである。そして、それに応えたのが仏教だった。
鎌倉仏教のリーダーたちは、いかにして「穢れ」を超える論理を編みだしたのか。そして、墓所になぜ硬い墓石を建てるようになったのか。仏教史を繙くことにより、日本人がいかにして“弔い”を獲得したかをたどる。
はじめに

第一章 現代の葬式事情
国際化と葬儀/四葬法と四元素説/エンバーミング/東アジアの葬儀事情/韓国の二つの葬儀──儒教式とシャーマニズム式/「異常」死者の弔い/中国における葬儀

第二章 風葬・遺棄葬の日本古代
穢れを恐れた古代仏教/五体不具の穢れ/延喜式の定める穢れ/河原などに遺棄される死体/捨てられる病人/『餓鬼草子』に見る葬法/「五体不具穢」史料の減少/葬式従事を忌避した官僧/神事に携わった官僧/二十五三昧会/求められた葬送

第三章 仏教式の葬送を望む人々
鎌倉仏教と改革/遁世僧の誕生/二元的世界観の成立/極楽浄土と阿弥陀信仰/兜率天と弥勒信仰/法然が警戒した弥勒信仰/道長の浄土信仰/二つの信仰の混淆/自業自得から回向追善/死体観、穢れ観の変容/光明真言会と救済/死穢を乗り越える論理/神事からは遠ざけられた/往生人に穢れなし──念仏僧の死穢観/禅僧と葬送/親鸞の葬送観

第四章 石造の墓はいつから建てられたか
依り代を納めるところ/東北・関東に多い板碑/死者への供養塔/供養塔から墓所へ/五輪塔と火葬骨/巨大五輪塔と律宗教団/律僧が分骨する理由/なぜ硬い石を使い、巨大な塔を立てたのか/弥勒下生に備える/五六億七千万年を待つために
一結講衆の時代/六道講と斎戒衆/開かれた墳墓堂から、閉ざされた家の墓へ

第五章 葬式仏教の確立
葬式仏教は革命/強制された檀家制度/新寺建立ラッシュと本末制度/寺請制度と宗門改制度/寺請・檀家制度の弊害/位牌の一般化/真宗寺院の展開

終 章 葬式仏教から生活仏教へ
天皇の葬儀も担った遁世僧/葬式は人間の根源的な願い/暮らしに根ざした仏教へ

あとがき
参考文献

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