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激安エアラインの時代

激安エアラインの時代

なぜ安いのか、本当に安全なのか

杉浦 一機
シリーズ・巻次 平凡社新書  632
出版年月 2012/03
ISBN 9784582856323
Cコード・NDCコード 0265   NDC 687
判型・ページ数 新書   248ページ
在庫 在庫あり
定価858円(本体780円+税)

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この本の内容
目次
激安航空会社の登場は、これからの日本の空をどう変えるのか!? 安さの「からくり」と、その背景にある「規制緩和」(航空自由化)に迫りながら、日本の“空”の今後を大胆に予測する! 世界の有力国のなかで、日本の空は、最後まで残った「閉ざされた空」だった。それが、「オープンスカイ」と呼ばれる航空自由化の流れによって、いま確実にこじあけられつつある。その象徴ともいえるのが、「格安エアライン」の登場だ。本書では、この格安エアラインが「なぜ安いのか」「本当に安全なのか」、そして「どんなデメリットがあるのか」という点をとっかかりにしながら、日本の空の現状を解き明かす。
歴史的には、第二次世界大戦後に、アメリカが推し進めようとした「オープンスカイ」の流れが、反対していたヨーロッパ各国に受け入れられていくなか、日本では頑強に拒絶されてきた。なぜ日本のオープンスカイは遅れることになったのか。業界を締めつけてきた監督官庁のあり様にメスを入れながら、世界のエアライン地図と、日本の空の「これまで」と「これから」を描いていく。
『激安エアラインの時代──なぜ安いのか、本当に安全なのか』杉浦一機=著

第1章 格安航空(LCC)の登場

(1)戦国時代に突入した日本の空
「空飛ぶ黒船」が日本に上陸  迎え撃つスカイマーク  外国社との合弁  就航を7月に繰上げたジェットスター

(2)LCCはなぜ安い運賃を提供できるのか
サービスはアラカルトに  LCCのデメリット  リスクは利用者に  悪くない安全性

(3)世界の革命児になったLCC
基本モデルは米国社  現場に権限が移譲されているSWA  ボーダレスを活用した欧州社  新しいライフスタイルが生まれる  すべてがLCCにはならない  日本にはなかった「LCC」

(4)「運賃高値国」の崩壊
当局が操作していた運賃  国と大手がしっかりタッグ  為替を「隠れ蓑」に利益隠し  多用する日本独自ルール

(5)「空飛ぶ電車」ピーチが誕生
大阪─札幌が250円の衝撃  ANAは経営に深入りせず  SKYより高品質で、安いコストが目標  ANAに2社のLCC  三つ巴の戦い  合弁LCCで韓国社を撃破


第2章 アジアで進むオープンスカイ

(1) 世界の空は全面自由化に
米「全自由」と英「制限」の対立  制限的だった2国間協定  米国の狙いは世界の空の開放  ドミノ理論で攻略する米国  世界で進む航空自由化  豪州は国内線も開放

(2)IATA運賃の崩壊
IATAを目の敵にしてきた米国  EUが特例措置を見直し

(3)ついに開国に舵を切った日本
まやかしの「自由化」路線  自由化を阻む航空法  自由化したくなかった運輸省  理念がない日本の自由化  「AGW構想」で開国へ  アジアの繁栄から疎外される  政策転換を加速し、完全自由化へ

(4)「アジア大航空時代」が到来
世界最大の市場になる  航空がアジアを大変革


第3章 アライアンスと新機種に懸けるレガシー

(1)疲弊したレガシーのビジネスモデル
「エアラインの雄」さえ倒産  テリトリー制で守られていたレガシー  ネットワークキャリアの強み  テロが焙り出したモデルの疲弊

(2)救世主となったアライアンス
グローバルキャリアを目指す  独禁法の例外措置で拡大  アライアンスが深化  世界のビッグキャリアは3社に?  3大アライアンスが崩れる日

(3)フルライン化を進めるレガシー
複数運賃とレガシーベイビー  LCCからVIP輸送まで  レガシーで多発する労使紛争

(4)新機種が「ゲームチェンジャー」になるか
疲れない旅客機の登場  「ゆとり」を楽しむA380  汎用性が高いB787  国産初のジェット旅客機MRJ


第4章 甦るのか、日本の空

(1)多様化するサービス・運賃
選択肢の最も豊富な福岡線  有料サービスも導入  豊富になった乗り換え空港

(2)JALは甦るのか
規模縮小で利益は増加  予想されるデルタの再勧誘  見えない成長へのシナリオ  長所を生かした国際キャリア

(3)ANAの課題
事業構造の改革が必要  追われる立場になったANA  「マルチタスク」でコスト削減  難航する乗員組合との交渉

(4)本格LCCになれるのかSKY
機種の小型化で収益性が向上  経営資源を多客路線に集中  会社の存亡を懸ける国際線への進出

(5)新規社に未来はあるのか
LCC参入の影響をモロに受ける  防衛のために打って出るスターフライヤー  独自の戦略が求められるエア・ドゥ  信頼性を挽回できるかスカイネット
名古屋航空になりそうなフジドリーム

(6)変革を迫られる空港
行き詰まった空港整備特別会計  関空と伊丹を経営統合  地方空港も民営化  大幅に増える成田の発着枠

(7)交通基本法で何が変わるのか
「ユニバーサル・サービス」を保証  ローカル線の助成が拡充  止まらない新幹線工事  JRを揺さぶるLCC運賃

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