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大川周明 アジア独立の夢

大川周明 アジア独立の夢

志を継いだ青年たちの物語

玉居子 精宏
シリーズ・巻次 平凡社新書  651
出版年月 2012/08
ISBN 9784582856514
Cコード・NDCコード 0221   NDC 210.7
判型・ページ数 新書   312ページ
在庫 在庫あり
定価968円(本体880円+税)

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この本の内容
目次
大川周明を所長として、昭和13年に設立された東亜経済調査局附属研究所。2年の教育期間を経て、南方各地に飛んでいった卒業生たちは、どんな役割を担ったのか。証言を基に掘り起こす。 昭和十三年、東京西郊にある“私塾”がつくられた。
思想家・大川周明を所長とする東亜経済調査局附属研究所。
外務省、陸軍、満鉄が出資し、日本の南方進出に
貢献する人材を育てることが目的とされた。
二年間の修学の後、卒業生は東南アジア各地に渡り、
戦争の裏面や独立運動の進展に関わることになる。
卒業生への聞き取りと資料をもとに
“知られざる教育機関”の実態を明らかにする。
はじめに

第一章 南進日本の「眼・耳・手足」となれ
学費無料・小遣い支給、一〇年働けば一万円/五・一五事件に関与して服役
満鉄、外務省、陸軍の出資と思惑/人物を見る試験で選抜
五・一五事件関係者による監督語学の専攻ごとに班分け/「大事な事は正直と親切」
訪れる軍人、政治家たち/深夜にかかる「非常呼集」/「政治を論ずるな」の方針
日中早期停戦への意欲を語る/「南方通」の軍人たちが出入り
「日本は興廃の岐路に立つ」/スパイ容疑で拘束も断じて語らず

第二章 マレー作戦の裏側で
マレー半島で資源獲得に歩いた若者の記憶/戦争準備を視野に設置された領事館
外務省、昭和通商、満鉄が決めた先行き/大南公司シンゴラ支店に軍の情報網
上陸地点を“視察旅行”で歩く/一時帰国のはずが一転、軍属に
運んだのは無線機、機関銃、手榴弾/「開戦は八日」の知らせが到着
煙幕としての「すき焼き会」/夜明け前の上陸から翌日の停戦まで
「ミスター・ニッポン」と呼ばれて/外務省に残るその名は「他人」

第三章 ビルマ独立への共闘とその限界
防衛研究所所蔵の資料に書き込まれた事実/ビルマ工作の起点、「南機関」
腕の血をすすって、ビルマ独立に忠誠を誓う/西方行きの夢が潰えて
「ビルマ独立義勇軍の真の戦い手」/車輌では進めない山道を行く
「種々雑多」な人間の集団/空文化した独立の約束/BIA大観兵式
大川塾生の 反乱 /BIA、消滅へ/師の教育をけなした領事に反発、ビルマに向かう
青年運動への軍政上の深謀/「心の友を作るよう努力せよ」
相容れない軍政とアジア主義/バーモウ首相暗殺未遂事件への関与
軍事裁判で「監禁三年」の刑を宣告される
第四章 ベトナム・カンボジアの志士と密かに交わる
従軍記者のペンから辿る足跡/「北の山根、南の松下」
「特別な任務のためにベトナムに来た」/東洋のパリ、サイゴン
拳銃を離さずに眠った日/水面下の独立運動支援
ゴ・ディン・ジェム救出作戦/特務工作部隊「安隊」/新興宗教カオダイ教に接触
「血を流さなければ真の独立は達成できない」/根強いクォン・デ待望論
近づく敗戦の日/漁船での脱出に同期生との別れ
戦犯容疑者 として目をつけられた大南公司/「軍国主義のコマーシャル」から離れて

第五章 遠いインドをともに目指す
色あせたペルシャ語のノート/F機関による「インド国民軍工作」
F機関から岩畔機関へ/デリー発の短波放送を傍受/岩畔機関ペナン出張所
新司令官チャンドラ・ボース/「われわれは悪魔とでも手を握る」/インパール作戦
激戦地で投降呼びかけ/INA士官学校でインド人を訓練/捨て身の投降工作
占領したコヒマから撤退/ビルマ撤退のなかで見たチャンドラ・ボースの姿
バンコクで迎えた敗戦/「ドクター・オオカワを知っていますね?」

終章 歴史の一部になって
焼け落ちた上大崎の寮舎/「乱心」の師を見舞う帰還者たち/勝者の追及を恐れて
“不眠競争”の仕打ち/集まって対策を練る/卒業生の会「南方会」の設立
葬儀で“子等”の代表が読んだ弔辞/彼らが「大川塾」で得たもの
作戦至上主義への嫌悪感/二年の修学期間が意味するもの

あとがき

主要参考文献
関連年表