日本でいちばん平凡な名前の出版社
桜がなくなる日

桜がなくなる日

生物の絶滅と多様性を考える

岩槻邦男
シリーズ・巻次 平凡社新書  686
出版年月 2013/06
ISBN 9784582856866
Cコード・NDCコード 0245   NDC 479.75
判型・ページ数 新書   216ページ
在庫 在庫あり
定価836円(本体760円+税)

この本に対するお問い合わせ・感想

この本の内容
目次
人為の影響で、多くの植物種が危険な状況にある。はたして、植物が生きられない地球で人間は生きていけるのか。日本人にとって最もなじみ深い「桜」をとりあげ、生物多様性を考える。 毎年春になると華麗に咲き競い、日本列島を彩る数々の桜。その姿が消えてなくなるなど、杞憂と思われるかもしれない。しかし、桜の未来を現状からだけで推測していいものか。生物は、一種一種が勝手に生きているのではなく、長い歴史を背負って、相互に直接・間接的な関係を保ちながら生きているのだ。わたしたちの身近に存在する植物の現状を知ることが、生物多様性を知るための、第一歩となるだろう。
はじめに
第一章 危険な状態の植物たち
第一節 絶滅の危機に瀕する動植物種
話題に上り始めた危ない植物/日本の植物、レッドリスト事始め/絶滅危惧種に対する認識の薄さ
第二節 親しい植物の危機に気づく
上代の田園地帯の植物たち/秋の七草の危機/次に危ない植物たち
コラム1;ムニンノボタン──絶滅危惧植物の象徴種
第二章 生物多様性とは何か
第一節 種の絶滅
生き物の寿命/種の寿命/種が絶滅する原因
第二節 人為が及ぼす影響を知る
日本語の自然という意味/人が手を加えるということ/「自然」と「nature」
第三節 種の絶滅が示す生物多様性
生物多様性とは/日本の国家戦略の在り方/絶滅危惧種を材料に生物多様性を俯瞰する
コラム2;コウノトリ
第三章 多様性がもたらしてきたもの
第一節 種の多様性がなくなってしまったら
遺伝子資源として/地球環境を維持するために
第二節 生物と文化の多様性
文化の富を享受する/文化の多様性がもたらすもの/パンだけに依存する人たち
コラム3;人が創り、育てた種
第四章 身近な環境を正しく理解する
第一節 日本列島の自然が教えてくれたこと
豊かな日本の自然/日本列島に生きた人/自然を直視してきた人たち/文明開化によって得たもの、失ったもの
第二節 植物とのつきあい
上代から変わらぬ植物への想い/美の対象としての植物
第三節 近代化と植物学
日本列島の植物の動態/フローラの研究/ナチュラリストと日本の植物学
コラム4;里山放置林
第五章 日本人の桜への想い
第一節 日本のサクラ
日本列島に自生するサクラ/ソメイヨシノの実体/「サクラがなくなる日」が来るかもしれない
第二節 日本人と桜
上代における美意識と桜/平安貴族と桜/市民のお花見から軍歌まで/個別の花と景観の美
コラム5、梅と桜
第六章 自然と共生してきたわたしたち
第一節 日本列島の景観と開発
上代の頃の自然観/里山は日本人のこころ
第二節 持続可能な自然と人との関係
資源を利用してきた人類/人は生物多様性の一要素/多様な生物がいなくなれば人は存在しえない
第三節 環境保全から人と自然の共生へ
自然保護から環境保全へ/自分を護ることは自分の属する世界を護ること
コラム6、共生
あとがき
参考文献・資料