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神と肉

神と肉

日本の動物供犠

原田 信男
シリーズ・巻次 平凡社新書  730
出版年月 2014/04
ISBN 9784582857306
Cコード・NDCコード 0239   NDC 380.1
判型・ページ数 新書   264ページ
在庫 在庫あり
定価946円(本体860円+税)

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この本の内容
目次

近代以前、日本人は肉を食べなかったとする通念は、歴史的事実に反するものであることが近年ようやく明らかにされてきたが、そればかりでなく、民間では、野獣や家畜を屠り神に捧げ共食する儀礼がずっと続いてきた。中国、朝鮮、沖縄の事例をふまえながら、古代国家の建前により見えなくされた日本の動物供犠、米のためにこそ肉を神に捧げる儀礼を、考古学、民俗学、なにより文献の読み直しによって可視化する。『歴史のなかの米と肉』姉妹編。

はじめに

序章 生命と儀礼
生命という存在/人間と食物/儀礼の発生/儀礼と供物/野獣と家畜

第一章 沖縄の動物供犠から
第一節 沖縄と日本
沖縄の位置/沖縄に残る肉食文化
第二節 南島のシマクサラシ
除厄儀礼としてのシマクサラシ/シマクサラシの儀礼要素
第三節 志喜屋のハマエーグトゥ
大屋門中のハマエーグトゥ/ハマエーグトゥの次第/沖縄の水田と志喜屋
第四節 ハマエーグトゥの意義
ハマエーグトゥと浜下り/ハマエーグトゥと踏耕/ハマエーグトゥと陰陽五行説
第五節 沖縄の動物供犠
国頭地方のウシヤキ/八重山諸島の動物供犠/沖縄の動物供犠

第二章 中国大陸・朝鮮半島の動物供犠
第一節 古代中国の動物供犠
中国の文明と農耕/中国の動物供犠/動物供犠と農耕
第二節 華北と華南の動物供犠
黄河文明と動物供犠/華北における犠牲の体系/長江文明と動物供犠
華南における供犠動物
第三節 古代朝鮮の動物供犠
古代朝鮮の神話と農耕/自然神崇拝にみる農耕と供犠/犠牲獣としての家畜と野獣
第四節 近代朝鮮の動物供犠
模造ウシによる農耕儀礼/雨乞いと動物供犠/動物供犠における朝鮮と日本

第三章 日本における動物供犠の痕跡
第一節 動物供犠と農耕儀礼
シカの血と農耕/シカの血の民俗/オビシャと農耕儀礼
第二節 生贄の存在
活かせておく牲/生贄と牲/野獣の生贄
第三節 胙と動物供犠
神籬と胙/釈奠と胙/胙の変容
第四節 祝と犠牲
屠と祝/祝と土蜘蛛

第四章 野獣の供犠と農耕
第一節 縄文的祭祀と弥生的供犠
狩猟と縄文的祭祀/農耕と弥生的供犠
第二節 日光山・諏訪・阿蘇の狩猟祭祀
日光山とシカの贄/諏訪の御頭祭/阿蘇の下野狩り/狩猟の論理
第三節 弥生的供犠の進展
菟足神社の風祭/風祭の系譜/諏訪と農耕/阿蘇と農耕
山間部の狩猟と農耕/山の神から田の神へ
第四節 野獣供犠の伝統
中山神社の人身御供/贄賄狼神の性格/中世の野獣供犠と仏教説話
近世文献にみる野獣供犠/野獣供犠の持続

第五章 家畜の供犠と農耕
第一節 牛馬の移入と供犠
牛馬の移入/野獣から牛馬へ/牛馬の供犠と農耕
第二節 供犠における野獣と家畜
野獣と家畜の供犠/御歳神とウシ/『古語拾遺』の新解釈/祈年祭の白馬
第三節 大陸・半島的供犠の否定
漢神の祭とその禁令/大陸・半島的供犠の否定/動物供犠への国家的対応
動物供犠への宗教的対応
第四節 家畜供犠の伝統
中世の雨乞い供犠/近世・近代の家畜供犠/供犠動物としてのウマ 
民俗としてのウマの供犠/日本における供犠と穢れ/穢れの日本的特色
日本における動物供犠の特色

終章 人身御供・人柱と首狩り
動物供犠から人身供犠へ/オナリ女の存在/人柱と農耕/首狩りと農耕

参考文献・典拠文献

あとがき

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