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バレンタインデーの秘密

バレンタインデーの秘密

愛の宗教文化史

古代、性の放蕩にはじまる土着の宗教儀礼は、いかに世界習俗となったのか? もはや脱宗教化されてしまった「愛の日」の起源に迫る。

浜本 隆志
シリーズ・巻次 平凡社新書  763
出版年月 2015/01
ISBN 9784582857634
Cコード・NDCコード 0236   NDC 361.5
判型・ページ数 新書   256ページ
在庫 現在品切中
定価924円(本体840円+税)

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この本の内容
目次

いまや「チョコレート業界の陰謀」とも称されるバレンタインデーだが、日本ではなぜ女性が男性にチョコレートを贈る日となったのか。古代、性の放蕩を目的としたヨーロッパ土着の宗教儀礼が世界習俗と化すに至ったルートをたどり、その系譜から浮かび上がる愛の宗教文化史に迫る。世界史のなかに埋もれた、知られざる愛と欲望の物語。

はじめに

第一章 「愛の日」のルーツ
バレンタインデーの系譜/ルペルカリア祭とは/古代ローマの建国神話から/男女の出会いにおける籤引き説/女神ユーノと二月一四日

第二章 聖バレンタイン殉教伝説
ローマ教皇ゲラシウス一世とバレンタイン伝説/複数の聖バレンタインの正体/土着の祭りからキリスト教祭へ/女神ユーノから聖母マリア信仰へ

第三章 イスラームの衝撃
十字軍の派遣と南フランス・コネクション/イスラームの女性観との遭遇/騎士道と「宮廷風恋愛」/貴婦人への愛と聖母マリア信仰の連動/女性原理と異端に対するキリスト教の逆襲

第四章 ヨーロッパ伝播におけるミッシングリンク?
フランスとイングランド・コネクション/チョーサーの『鳥たちの議会』/愛の祝宴とバレンタイン・ゲーム/シェイクスピアのオフィーリア/バレンタインデー結婚式

コラム1 吟遊詩人が歌う愛の姿

第五章 デフォルメと脱宗教化
病気治療の守護聖人バレンタイン/愛の守護聖人バレンタイン/カーニバルへの流入/近代の恋愛観の変化と脱宗教化/バレンタインデーと近代商業資本

第六章 愛の媒体──バレンタイン・カードからチョコレートまで
バレンタイン・カード/キューピッドとハート/チョコレートとバレンタインデー
チョコレートと「南北問題」/薔薇は愛の象徴か

コラム2 ハワイのマカヒキ祭とキャプテン・クックの死

第七章 アメリカへの伝播
多民族国家ゆえの受容/アメリカン・ドリーム、ディズニーランド、そしてバレンタインデー/サンタクロース、ハロウィーンとともにヨーロッパへ還流/現代アメリカのバレンタインデー事情

コラム3 「血のバレンタインデー」

第八章 舞台は日本へ
日本の現状/バレンタイン・チョコレートの歴史/日本型の特徴/ジェンダーの問題/インターネット時代のバレンタインデー

終章 「愛の日」のメタモルフォーゼ

あとがき

参考文献