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ゴーストライター論

ゴーストライター論

佐村河内守問題をスクープする一方、自ら数十冊のライティングを手掛けた著者によるゴーストライター論。自らの経験を踏まえて綴る。

神山 典士
シリーズ・巻次 平凡社新書  772
出版年月 2015/04
ISBN 9784582857726
Cコード・NDCコード 0236   NDC 360
判型・ページ数 新書   200ページ
在庫 現在品切中
定価814円(本体740円+税)

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この本の内容
目次

出版界において、その存在なしには本づくりが成立しないともいわれる「ゴーストライター」。その実態はいかなるものなのか。
佐村河内事件をスクープする一方で、多くの「ゴーストライティング」を手掛けてきた大宅賞作家が、知られざる職人技の世界を描く。
その存在は「悪」なのか? 「幽霊」はなぜ書き続けるのか?

まえがき
ゴーストライター元年/ゴーストライティングは悪いことなのか
作家の後ろに幽霊がいてはいけない
第1章 人はなぜゴーストライターになるのか
1、 クリエイターとしての根源的な喜び──新垣隆の創作現場
四季がある部屋/音楽家にとって至福の時
2、 他者の「主観」で文章を紡ぐ喜び
「異国の言葉」をわかりやすく/いかにエッジを立てるか/インタビューの醍醐味
3、 未知のジャンルに入っていく喜び
マンツーマンで第一人者の話が聞ける/ギャランティ以外の報酬
第2章 「他者」の人生をデザインする
本人が自覚していない人格を掘り起こす
1、 『成りあがり』はいかに生まれたか
最初にあったのは「読者イメージ」だけ/「そうだ、あの人にお願いしよう」
2、 伝えたいことを「商品」にする
「初めから嘘をつかないほうがロック」/矢沢永吉の語り口
目の前で語っているような文体で/チームを組まなければできなかった仕事
3、 デッサンを積み重ねる
デッサン力と構成力/現場の空気感こそを文章に/集めたものをどんな箱に入れるか
言葉にしない部分を感じとる
4、 編集者冥利の作品
「あの本さ、芥川賞とれないかな?」/一期一会のままで
第3章 出版界のビジネスモデルのなかで
1、 出版界の現状
「新書最終戦争」/「タイミング」を合わせるために
2、 編集者から見たライターの条件
プロデューサー的編集者/ライティングは編集作業の一つ
企画会議は投資会議/ライターのスキルとは
3、 「著者」がライターと共に本を出すということ
「ミャンマーでの体験を本にしたい」/現地取材を通して
処女作を出してから
第4章 ブックライターの仕事術
1、 多彩な文章力と構成力を身につける
「落語家がしゃべっているような文章に」/読者目線で書く、構成する
多彩な文体がなせる技
2、 自分をプロデュースする
自費出版のライティング事情/企画の連鎖を生み出す/社会を編集する
3、 企画を通すには
「書きたい」ものより、読者が「読みたい」もの/編集者との共同作業/企画は変容する
第5章 トラブルを事前に防ぐ
1、 泣き寝入りをしないために
経営者の一言で企画が頓挫/交渉の末にやっと
2、 よくある失敗事例
できあがった原稿に、「著者」が不満を言う ①/できあがった原稿に、「著者」が不満を言う ②
企画自体が何らかの理由で頓挫/お金にまつわるトラブル
3、 著作権の流れ
著作権はどこに発生するのか/覚書を交わす


あとがき──チームライティングの視点
著者の戸惑い/チームライティング/若手ライターの育成/ゴーストライターのスキルは高い