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「個人主義」大国イラン

「個人主義」大国イラン

群れない社会の社交的なひとびと

組織に縛られない「個」の国イラン。バラバラな彼らには、旺盛な社交が必要。風通しがよくてかつめんどくさい社会を実体験から紹介。

岩崎 葉子
シリーズ・巻次 平凡社新書  786
出版年月 2015/09
ISBN 9784582857863
Cコード・NDCコード 0230   NDC 302.272
判型・ページ数 新書   272ページ
在庫 在庫あり
定価924円(本体840円+税)

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この本の内容
目次

イランは、人間が組織に縛られないで生きるという、日本では夢のような生き方の具体例を、いやになるほど豊富に示してくれる。同調圧力などどこ吹く風、いきづまったらいつでも転身、勤めていても意識はフリーランス、みんな一国一城の主でてんでに勝手に我が道を進み、それでもなぜか社会はまわっていく。その秘訣とは? 経済学者としてこの地に住み彼らと交わり観察した著者が、鮮やかにユーモラスに、「これもありか!」の社会関係を紹介。

はじめに

第1章 グローバリズムの蚊帳の外
1 コミュニケーションの達人
詩の国イラン/口上手なひとびと
2 ふたたびテヘランに住む
未完成マンション/約束をしない/イラン労働市場の謎/昔から、来ない
3 イランという国
緑陰の往来/排気ガスの都心/魅惑のフィールド/革命後のイランと商売
4 調査のフィールド
玄人の町のパーサージ/買わない訪問者/喧騒の大バーザール
おのぼりさんのいない路地
5 競争万歳
貿易「自由化」の時代/流れ込む中国製品/トップ企業は動揺せず
フェレスティーン通りのボナクダール/大バーザールの古老が一喝
零細企業はどうなった

第2章「一人でもできる」システム
1 公私混同のフィールド・ワーク
子ども大好き/家庭人としての資質/ご機嫌伺い/信用の所在
2 大アパレル産地テヘラン
アパレル企業が雲集/作る人と売る人/アパレル企業の言い分/このやり方がいちばん
3 ナマーヤンデにおまかせ
知識人ジャアファリー氏の二足めのわらじ/外国からモノを買うには
企業とナマーヤンデ/誰を選ぶか/「自由化」後のナマーヤンデ/付かず離れず
4 零細企業でも売れるわけ
ゆるやかな協業/自己完結の大企業/売るのはボナクダール
お雇い御用聞きヴィジトール/大いなる混沌
5 凝り性社長のオートクチュール
創業の地で/あくまでもシック/孤高の販売戦略/商才はご先祖譲り

第3章 テヘラン暮らし
1 自力本願
水漏れ騒ぎ/カンフーも教えます/プロってなあに/当てにせず、あきらめず
2 旅の思い出
旅の手配師/客は自分のもの
3 サモワールの午後
お茶がなくては始まらぬ/川べりの縁台で/サモワールのある店
4 出稼ぎものがたり
「日本帰り」/黒髪御用達/故郷に錦

第4章 ひとヤマ当てに広州へ
1 調査の恩人
イラン繊維産業協会/火中の栗を拾う/乗りかかった船/キャンドヴァーン小路
2 新しいブールスの出現
アーハンギャルハー通り/外国製品一辺倒/誰が持ち込んでいるのか
大バーザール有為転変
3 意外な参入
みんなが知っている/にきび面の青年/生産者からバイヤーに
4 行ってみた中国
生産をやめて買い付けに/中国人は働き蜂/驚きの通訳ガイド
何でもござれの「専業市場」
5 華麗なる転身
画期的な「注文生産」/急成長と人心/いつかもう一度

第5章 開かれた市場
1 やすやすと市場参入
卸売業者の支配する世界/大バーザールのつわものども/場所は金しだい
2 サルゴフリーを買って実業界進出
商業地の場所代サルゴフリー/賃借していても「自分の店」/地主の役得
又貸しで乗り切れ/店子と地主の皮算用
3 商人気質
君臨する者たち/最高級品に魅せられて/信心それぞれ
4 レサーレ探し
イスラーム法学者の見解/書店街の風景/亡き師のレサーレ/ゴムまで注文

第6章 頼られてこそ、 人生だ
1 縁の結ぶ世の中
人を動かす/自分は、自分
2 迷惑かけるべし
ショマーリーとトルク/居候合戦
3 バーグでお茶を
ご紹介ください/一人前の神通力/バーグの楽しみ/千客万来/実を子どもたちに
4 モナの夫婦善哉
窓拭き大好き/日本てどんなところ/だめ亭主/七転び八起き

おわりに
文献紹介
あとがき

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