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安倍晋三「迷言」録

安倍晋三「迷言」録

政権・メディア・世論の攻防

安保法制、戦後70年談話、メディアの距離、歴史認識など、安倍首相やその周辺の発言を拾い、「言葉」を通じて政治状況を読み解く。

徳山 喜雄
シリーズ・巻次 平凡社新書  802
出版年月 2016/01
ISBN 9784582858020
Cコード・NDCコード 0231   NDC 310
判型・ページ数 新書   240ページ
在庫 在庫あり
定価858円(本体780円+税)

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この本の内容
目次

「早く質問しろよ!」「国民の理解が深まっていない」
「全く正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」
政治家に失言や暴言はつきものだが、かつてこれほど「迷言」を吐く首相がいただろうか。
自分に対する批判は「レッテル貼り」「デマゴーグ」。
一方で自らが発する暴言は「言論の自由」。
安保法制、戦後70年談話などをめぐる「アベ流言葉」を通して政治・言論状況を読む。

はじめに
「断定口調」「レトリック」「感情語」/両極に振れつづける負の連鎖

第1章 安保法制をめぐる首相の「迷言」
「私は総理大臣なんですから」/ポツダム宣言を読まずに「戦後レジームの脱却」
「早く質問しろよ!」で議場が騒然/「日教組!」「木鶏たりえず」
ヤジを放置する「今の日本の空気感」/与党のオウンゴール/無理筋の理屈
学者の言葉と政治家の言葉/頻繁に使われる「レッテル貼り」/斎藤隆夫の反軍演説
強行採決後に「丁寧に説明していきたい」/安保法制をめぐる各紙のスタンス
「アベ政治を許さない」/「法的安定性は関係ない」と言い放つ首相補佐官
「他に適任がいないんだよねえ」/抗議行動を報じる「一方通行の言論」
同じ土俵で議論ができない国/想定事例の現実味/元最高裁長官の明快な批判
新たな安保法制が成立/カウンターデモクラシーの新しい動き
「国民多数が望まぬなら不要にできる」/イエスかノーかの劇場化に陥る

第2章 戦後70年「安倍談話」を検証する
読売までも首相と一線を画す/「未来志向の談話」/首相に寄り添うNHK会長
トンデモ発言に慣らされるな/安倍発言に神経を尖らせる米政府
安倍談話のひな型となった米議会演説/「姑息」のそしりを免れない閣議決定見送り論
中曽根元首相の忠告/「自虐」でも「独善」でもなく/謝罪の幕引きを示唆
「俺がやれるのは、ここまでが精いっぱいだ」/歴史認識をめぐる議論の土台に

第3章 報道を分裂させる権力中枢
テレビ局へ「公平中立」を求める要望書/大手メディアへの警戒心
「積極的平和主義」の落とし穴/外務省の強制的な渡航阻止/二分法の行き着く先
「テロに屈するな」という危ういロジック/「空気」を忖度しての自主規制
「報道ステーション」の古賀騒動/自己規制が蔓延する懸念
自民党によるテレビ局の事情聴取/BPOへの介入/「マスコミを懲らしめる」発言
言論の自由をめぐる在京紙の亀裂/「自民党、なんか感じ悪いよね」
新聞の対立構図とテレビは相似形/NHK、日本テレビ系、フジテレビ系にだけ出演
官邸側がメディアを選別/権力とメディアの距離

第4章 祖父ゆずりの憲法観と歴史認識
「96条の先行改正」で改憲/特定秘密保護法案の成立に専念
憲法解釈の見直しに戦術を変更/「お試し改憲」論へ/憲法記念日の各紙社説
岸信介の改憲への思いを引き継ぐ/本当に改憲したいのか/「徴兵制とはやす人々は無知」
経済的徴兵制度への危機感/天皇陛下の非戦への意志/皇后さまの着眼点
「玉音放送」原盤を公開した意味/南京事件が世界記憶遺産に登録
南京事件をめぐる文科副大臣の問題発言/朝日新聞の慰安婦報道
河野談話の見直しを主張/慰安婦報道の背後に首相の影

第5章 東京オリンピック騒動と原発
相変わらずの断言調/槇文彦氏が五輪メーン会場案に異議/建て替え計画の経緯も不透明
人気とりの「白紙撤回」か/「強行政治の行き詰まり」
大会組織委員会の相次ぐデタラメ/大飯原発をめぐる画期的な判決
原発をめぐる司法の姿勢はどうなるか/電力会社の株主総会をどう報じたか
原発推進3新聞の素っ気ない紙面/長崎被爆者代表の訴えを黙殺/「見解の相違ですね」
「世界最高水準」「最も厳しい」の裏にあるレトリック/既存権力の暴走と民意の新しい回路

おわりに

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