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リメイクの日本文学史

リメイクの日本文学史

もと歌の書き換え、自作に手を入れ続ける作家たち……「推敲」から「翻案」まで、「書き換え」の諸相に目を凝らし、文学の力を探る。

今野 真二
シリーズ・巻次 平凡社新書  811
出版年月 2016/04
ISBN 9784582858112
Cコード・NDCコード 0295   NDC 914.6
判型・ページ数 新書   240ページ
在庫 在庫あり
この本の内容
目次

 

本歌取りは和歌の作法の王道であり、『源氏物語』や『平家物語』など古典に材をとるリメイク作品が日本文学史の背骨を形作る。明治の開化は欧米文学の翻案で彩られ、近代文学の作家たちは筆をおかずに自作のいくつもの別バージョンを生み出してしまう。……文学の領域はさまざまなリライト現象に満ちている。推敲という最初の「書き換え」から遥かな翻案の連鎖までリライトの諸相をたどり、読み手を書き手に変える文学の力を見定める。

 

はじめに

第一章 古典文学はリメイクされる──源氏物語と牡丹燈籠
リメイクされた(?)『万葉集』の和歌/本歌取り/『源氏物語』と『狭衣物語』
駒下駄の音高くカランコロン/「翻案」という語について/固有名詞に注目すると
漢文になった牡丹灯籠/コミック化した牡丹燈籠/唐十郎『青春牡丹燈籠』
カラコン/カランコロン

第二章 翻案というリライト──明治の翻案小説と幽霊塔の歴史
人肉質入裁判/Shylockとサイロク/幽霊塔へようこそ/『幽霊塔』の歴史 
書き換えられた『灰色の女』

第三章 推敲と書き換えのはじまり──漱石と賢治の自筆原稿
『坊っちやん』の自筆原稿/高浜虚子による松山方言の修正/固有名詞の変更
漱石の誤記あれこれ/語形にかかわる修正/『それから』の自筆原稿
表記の書き換え/『それから』の語形にかかわる修正/格助詞「ノ」の脱落
ケレドモ・ソウシテ・ダカラ/宮沢賢治の自筆原稿/カムパネラルかカムパネルラか
消された描写

第四章 作家たちは書き換える──「鼻」と「山椒魚」
芥川龍之介「鼻」/芥川龍之介「ひよつとこ」/井伏鱒二「山椒魚」
いくつものアウトプット

第五章 詩はどのバージョンがよいと言える?──てふてふ・有明・あむばるわりあ
安西冬衛「春」 蒲原有明「朝なり」 一作品の四つのかたち
西脇順三郎『Ambarvalia』と『あむばるわりあ』

第六章 少年少女のために──乱歩の場合その他
ポプラ社『少年探偵?江戸川乱歩全集』/「二銭銅貨」の場合/情報の簡略化
語の書き換え/外来語/漢字字体とかなづかい/系譜の抹消
講談社『少年少女世界文学全集』(全五十巻)/『坊っちゃん』の少年少女向けの書き換え

第七章 歌詞の変容──春の小川はさらさら流る
「やる」と「あげる」/「春の小川」/「蛍の光」/「冬景色」/「お山の杉の子」
「汽車ぽっぽ」/「星月夜」から「里の秋」へ/「夢の外」─「真白き富士の根」

おわりに
漢文訓読/ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』/トリビュートから二次創作へ

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