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マルセル・デュシャンとチェス

マルセル・デュシャンとチェス

現代美術の父マルセル・デュシャンの制作論における秘密を、チェスを手がかりに精緻に読み解く、気鋭の美術評論家による力作。

中尾 拓哉
出版年月 2017/07
ISBN 9784582284485
Cコード・NDCコード 0071   NDC 723.35
判型・ページ数 A5   396ページ
在庫 現在品切中
定価5,280円(本体4,800円+税)

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この本の内容
目次

気鋭の美術評論家がチェスとデュシャンの失われた関係を解き明かし、制作論の精緻な読み解きから造形の根源へと至る、スリリングにしてこの上なく大胆な意欲作。生誕130年、レディメイド登場100年!

「チェスとデュシャンは無関係だという根拠なき風説がこの国を覆っていた。やっと霧が晴れたような思いだ。ボードゲームは脳内の抽象性を拡張する」──いとうせいこう氏推薦

《目次》
序 章  二つのモノグラフの間に

第一章 絵画からチェスへの移行
  1 はじまりの記憶
ピュトーの庭で/画家の手/独身者とポーン
  2 プレイヤーの体感
完全情報ゲーム/仮想空間の可視化/カンヴァスとチェス盤
  3 頭脳的な運動
チェス・プレイヤーと裸体/速度のフォルム/花嫁の行方

第二章 名指されない選択の余地
  1 絵画は私を
旅と転機/ブエノスアイレスの夢/ナイトのイメージ
  2 固定されない彫刻
色づけられるチェス駒/既製の色/選択と配置
  3 消失する造形
網膜を超えて/言語と色彩/灰色の物質

第三章 四次元の目には映るもの
  1 空間と幾何学
科学的思潮/新しい尺度/表象的空間
  2 基本的平行関係
数学的モデル/射影/四次元の国への旅
  3 見えないキューブ
透視図法/切断/無数の観測位置の中で

第四章 対立し和解する永久運動
  1 高次元の対立
ハイパーモダン/中盤のひらめき/ビショップのレバー
  2 オポジションと蝶番
理論書の出版/見出されたダイアグラム/引き合うリズム
  3 高次元の和解
半透明のチェス盤/回転/折り返される可動領域

第五章 遺された一手をめぐって
  1 チェスと裸体
隠されたイスム/ルーク・エンディング/紙の表と裏の間
  2 鋳型の手
二次元から三次元への通路/鏡映/二つの同一物の間
  3 終わりの風景
三次元の外観/恋人たち/プロモーション

第六章 創造行為、白と黒と灰と
  1 「遺作論」以後
沈黙の流派/引き出されるもの/一○○年先に
  2 必然と偶然
二つの選択/論理と直感/一致の記号
  3 二つの活動形式
機を失わず/起こりうる運動/ひらめきの論理

あとがき