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吉原の江戸川柳はおもしろい

吉原の江戸川柳はおもしろい

男と女が色とカネめぐって繰り広げる人間喜劇! 川柳作家の細かすぎる観察眼といじわるな表現が何とも可笑しい。落語ファン必読!

小栗 清吾
シリーズ・巻次 平凡社新書  864
出版年月 2018/01
ISBN 9784582858648
Cコード・NDCコード 0292   NDC 911.45
判型・ページ数 新書   264ページ
在庫 在庫あり
定価924円(本体840円+税)

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この本の内容
目次

どら息子や無粋な武士、色坊主から元気な老人まで、
江戸の男たちは、吉原が大好きだった。
〝もてたい〟奴らを、遣り手が手ぐすね引いて待ち、
嘘八百を並べながら、遊女たちがその気にさせる――。
男と女の人情喜劇を見事に詠み込んだ川柳の数々に、
「ニヤリ」となるか、「ドキリ」とするか!?
江戸川柳の「ありんす国」は、今日も可笑しな人々で大騒ぎ!

吉原は江戸で唯一の公許の遊廓です。この吉原を詠んだ句は江戸川柳でも膨大な数にのぼり、題材別に分類をすれば、おそらく第一位になるだろうと思います。吉原を詠んだ江戸川柳の巨大な塊を前にすると、江戸の男たちは本当に吉原が好きだったんだなと思います。
“男女のこと”を題材にした「破礼句(ばれく)」や、歴史を詠み込んだ「詠史句(えいしく)」がそうであったように、大好きな吉原のあれこれを、川柳作家たちが、どうでもいいことを細かく観察したり、いろいろデフォルメしたり、時には「もしこんなことがあったら面白いよなあ」と想像を膨らませたりして、可笑(おか)しい句に作り上げてくれました。
「江戸時代の遊廓のことなど難しそうだな」などと思わないで、素直に目を通していただいて、「人間ってそんなもんだよね」とか「江戸の男も同じだなあ」などと可笑しがっていただければ幸いです。
では、どうぞお楽しみください。
(「まえがき」を一部改変)

 

《目次》
まえがき

第一章 いざ吉原へ!
一、吉原はどこに?
(一)吉原の開設(元吉原)
(二)新吉原へ移転
二、吉原へ行く
(一)舟で行く
(三)託(かこつ)けの吉原
三、吉原の街並み
(二)廓内
(二)廓内

第二章 “ありんす国”の人々――遊女と遣り手と太鼓持ちと
一、遊女とその予備軍たち
(一)遊女の階級
(二)遊女の身の上
(三)遊女の身形・習慣
(四)新造
(五)禿
二、吉原の名脇役たち
(一)遣り手
(二)若い者
(三)お針
(四)太鼓持ち
(五)文使い
三、営業時間と客寄せイベント
(一)昼見世
(二)夜見世
(三)営業政策

第三章 “もてたい”人々――遊客百態
(一)息子
(二)亭主
(三)武士(浅黄裏)
(四)僧侶
(五)お店者
(六)老人
(七)大一座
(八)素一分
(九)素見

第四章 騙し騙され、男と女
一、しきたりの多い極楽へ――妓楼へ上がる
(一)張見世で見立て
(二)初会
(三)裏
(三)三会目
二、極楽の沙汰はカネ次第
(一)紙花
(二)総花
(三)総仕舞
三、もてりゃ天国、ふられりゃ地獄
(一)もてる客
(二)振られる客
(三)貰い引き
四、油断のならない遊女たち
(一)無心
(二)手管
(三)手管不成功
五、成敗される悪い客
(一)散切り
(二)桶伏せ

あとがき
参考文献