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麦酒とテポドン

麦酒とテポドン

経済から読み解く北朝鮮

もはや厳格な社会主義計画経済ではなく、経済の市場化が止まらない北朝鮮。農民市場や工場などの実態を通して等身大の姿を描くルポ。

文 聖姫
シリーズ・巻次 平凡社新書  900
出版年月 2018/12
ISBN 9784582859003
Cコード・NDCコード 0233   NDC 332.21
判型・ページ数 新書   256ページ
在庫 在庫あり
定価924円(本体840円+税)

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この本の内容
目次

市場経済への移行が起こり得ないケースとして、北朝鮮を挙げるむきがある。果たして本当にそうか。朝鮮新報記者、研究者としてたびたび訪朝し、農民市場や工場・企業の調査、市民からの聞き取りなどを行ってきた著者が描く、リアルな北朝鮮。

押し寄せる市場経済化の中で何が起きているか。

「大同江ビール」は改革・開放の象徴になるか。文在寅政権下の韓国との経済協力は進展するか。

プロローグ
期待が絶望へ/二度の平壌特派員/平壌郊外に設けられた総合市場/記者から研究者へ

第一章 市場経済化の波は止められない
値引き交渉も/危機から生まれた経済改革/改革後退と「デノミ」の失敗
もう供給には頼らない/なくならない“必要悪”/バッタ市場からダニ市場に
動かない列車と“にわか市場”/「本当にコチェビ?」/インジョコギとイタリアン
地方で外食してみた/国定価格と市場価格

第二章 経済から読み解く金正恩体制のゆくえ
新興富裕層の台頭/一般市民に必要な路上商店/中国製品を追い出したいが
現場に経営権を委譲/金正恩は改革派?/進む農業改革/社会主義農業政策の崩壊
経済協力のパートナーは韓国から中国へ/経済特区は二四カ所もあるが……
労働力は貴重な外貨獲得手段/「冬季漁獲戦闘」と漂流船

第三章 北朝鮮の人々
取材の成否を握る案内員/運転手と案内員の壁/移動の自由
社会の変化表す女性のファッション/北朝鮮の人たちも「タイタニック」を見た
腕を組むカップルが増える/当局も黙認する副業/北朝鮮で最も有名なアナウンサー
間食として配給されるロッテのチョコパイ/学者はつらいよ/中国の改革・開放政策から学ぶ?

第四章 大同江ビールと改革・開放
ビールは南より北/スピード普及の背景にビアホール/平壌ホテルでカクテルを飲む
北朝鮮にも爆弾酒?/夏恒例になるか、ビールの祭典/缶ビールも登場、輸出を目指すが
幻に終わった米国への輸出/改革・開放のシンボルとなるか

第五章 ブラックアウト、消えた電力
消えた(?)北朝鮮/七〇年前、北朝鮮は韓国に電力を送っていた
国章に描かれた水力発電所/極秘資料から見えてくるもの/なぜ軽水炉を望んだのか
慢性的電力不足の“助っ人”/平壌専用の熙川発電所
中国は本当に石油輸出を中止したのか

第六章 南北経済協力と文在寅政権
七〇年代に逆転した南北の経済関係/きっかけは水害支援/二つの首脳会談と経済協力
金剛山観光と開城工業団地/保守政権下で後退/新「ベルリン宣言」
経済協力復活なるか?/鉄道・道路の連結が改革・開放へつながるか?
一五万平壌市民の前で演説した文大統領

第七章 核開発とミサイル
中国、最初の核実験/マッカーサーと核兵器/核とミサイルにこだわる理由
核開発は経済のため?/進化した核・ミサイル能力/映画にもなった「核実験」
非核化は実現するか?/史上初の米朝首脳会談/北朝鮮の本気度

あとがき
北朝鮮関連年表
参考文献

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