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ハングルの誕生

ハングルの誕生

音から文字を創る

野間 秀樹
シリーズ・巻次 平凡社新書  523
出版年月 2010/05
ISBN 9784582855234
Cコード・NDCコード 0287   NDC 829.11
判型・ページ数 新書   376ページ
在庫 現在品切中
定価1,078円(本体980円+税)

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この本の内容
目次

ハングルは15世紀に、驚くほど精緻な「音の分析」をもとに創られた文字。現代の言語学者も驚嘆するその〈緻密な仕組み〉とは? 圧倒的な漢字文化の只中で、文字革命はいかに行われたのか? ハングルは、15世紀に李氏朝鮮で創られた〈文字〉である。精緻な「音の分析」をもとに創られたこの文字は、現代の言語学者も驚嘆するほどの〈緻密な仕組み〉を備えている。これほどの文字を、第四代国王・世宗(セジョン)と、彼に仕えた若き秀才たちはどのように創ったのだろうか?
また、当時の朝鮮は、行政を執り行う際の文書も、歴史を記述するのも、風景や人情を詠む詩歌も、すべてに漢字が用いられてきた。しかも、隣り合う中国との外交などでの付き合いもある。日本以上に、圧倒的な漢字文化のまっただなかにあった当時の朝鮮で、文字革命はいかに行われたのか?
ハングルの仕組みを〈言語学的〉に、そしてその成り立ちを〈歴史〉から見ていくことで、〈奇跡の文字ハングル〉の合理性、秘められた可能性を探っていく。

[第22回アジア・太平洋賞大賞受賞]
韓国ハングル学会より[2012年度・周時 経(チュ・シギョン)学術賞受賞]

はじめに
序章 ハングルの素描
一 ハングルの仕組み
二 『訓民正音』という書物

第1章 ハングルと言語をめぐって
一 ハングルの名
二 朝鮮語=韓国語の世界
三 ことばと文字
四 朝鮮語=韓国語はいかなる言語か

第2章 〈正音〉誕生の磁場
一 文字を〈創る〉──漢字の磁場から
二 自己増殖装置としての漢字
三 〈訓読〉の仕掛け
四 朝鮮語の〈訓読〉──〈口訣〉の構造
五 〈質量を有するテクスト〉
六 西方からの道──〈子音文字ロード〉の終焉

第3章 〈正音〉の仕掛け
一 文字を〈創る〉──空気の揺らぎから〈音〉を切り出す
二 〈音〉から〈かたち〉へ
三 単音=音節文字システムの創出
四 四分法システムの衝撃
五 音の変容を〈かたち〉にする――形態音韻論への肉迫

第4章 〈正音〉エクリチュール革命──ハングルの誕生
一 〈正音〉革命派と漢字漢文原理主義との闘い
二 〈用音合字〉の思想──〈知〉の原子を問う
三 〈正音〉よ、生きとし生けるものの〈こゑ〉を聞け
四 〈正音〉よ、くにのことばを──エクリチュール革命宣言

第5章 〈正音〉エクリチュールの創出
一 〈正音〉よ、音を統べむ──『東国正韻』
二 〈正音〉よ、三千世界を照らせ──儒仏道のみち
三 〈正音〉よ、天地宇宙を学べ──『千字文』
四 〈正音〉よ、我らが調べを──『杜詩諺解』と時調
五 〈正音〉よ、語れ、奏でよ──〈正音〉文芸とパンソリ
六 朝鮮固有語の血脈と漢字漢文の血脈の二重螺旋構造
七 〈正音〉反革命を超えて

第6章 〈正音〉──ゲシュタルト(かたち)の変革
一 〈かたち〉とは何か
二 正音の形と〈かたち〉
三 身体性を得た正音の美〈宮体〉

第7章 〈正音〉から〈ハングル〉へ
一 闘う〈正音〉、たたかう〈ハングル〉
二 再びゲシュタルトを問う──近代から現代へ
 
終章 普遍への契機としての〈訓民正音〉
『訓民正音』を読むというできごと

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あとがき
ハングル字母表 反切表/日本語の五十音をハングルで書く
ハングル略年表
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人名索引
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