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新京都学派

新京都学派

知のフロンティアに挑んだ学者たち

柴山 哲也
シリーズ・巻次 平凡社新書  715
出版年月 2014/01
ISBN 9784582857153
Cコード・NDCコード 0221   NDC 210.76
判型・ページ数 新書   240ページ
在庫 在庫あり
定価880円(本体800円+税)

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この本の内容
目次

戦後、京都大学人文科学研究所に集った若き俊英たち。
桑原武夫を筆頭に、今西錦司、貝塚茂樹、上山春平、
梅棹忠夫、梅原猛、鶴見俊輔といった面々は、
戦前の「京都学派」に対して「新京都学派」と呼ばれ、
学際的な共同研究や大衆社会のフィールドワークなど、
新たな学問研究のスタイルを築き上げた。
彼らの人間像に触れながら、それぞれの仕事の
歴史的意義、多彩に広がる人脈を描く

序章 「夢から出たマコト」──日文研創設をめぐって
「日本とは何か」を多面的に発信/京都を世界文化交流の中心に
中曽根首相との懇談会/文部省の屋根裏部屋からのスタート
日文研をとりまく内外の批判/朝日新聞での紙面討論
「羅漢の集い」であれ

第一章 新京都学派を担った知の巨人──桑原武夫と京大人文研
党派性を超えた京大人文研/青春時代に体験した「戦争」と格闘
学際的共同研究の元祖/アクチュアルな問題意識
近代を把握するためのルソー研究/西欧、中国、日本を結ぶ三角形
桑原の米国体験/「面白くなければ共同研究は続かない」
消去法という視点/内藤湖南は「豆腐のニガリ」
人生にとって文学はなぜ必要か/「第二芸術」の衝撃/高橋和巳の死

第二章 民衆の中に入っていく姿勢──鶴見俊輔、梅棹忠夫、司馬遼太郎
「文学の要件」とは何か/農村における美人の研究/現代風俗研究会
鶴見俊輔の桑原論/大阪万博と民博設立をリードした梅棹忠夫
『文明の生態史観』/記者クラブで桑原に出会った司馬遼太郎
司馬のノモンハン事件への関心/明治維新は革命か復古か

第三章 特攻から生還した哲学者・上山春平の戦後
上山の戦争体験/研究の方向を決定づけた「新憲法私案」
日本人の「さもしい気持ち」/九条の存続を支持/大嘗祭と天皇制
日本は凹型文明の地/梅原猛と立ち上げた「日本学」
天皇制の起源を求める旅/「日本の非革命」思想

第四章 記紀神話を脱構築した梅原日本学と“怨霊史観”
聖徳太子をめぐる謎/記紀神話のイデオロギーに対する疑念
哲学者としての洞察/歴史の闇に埋もれていた不比等の正体
出雲神話の研究/柿本人麻呂の終焉の地をめぐって

第五章 ダーウィンに挑戦した文化人類学者・今西錦司
「パイオニアであり、放浪者」/京大学士山岳会/桑原との友情
「棲み分け理論」はいかに生まれたか/「人はあるとき突然、一斉に立ち上がった」
“覆面の哲学者”/西北研究所での体験/悲痛な決意/今西の感じた不安

おわりに──「文明災」と「幸福に生きる権利」
引き起こされた「文明災」/桑原武夫の憲法観

主要人名索引