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世界を動かす聖者たち

世界を動かす聖者たち

グローバル時代のカリスマ

井田 克征
シリーズ・巻次 平凡社新書  724
出版年月 2014/03
ISBN 9784582857245
Cコード・NDCコード 0214   NDC 162.2
判型・ページ数 新書   240ページ
在庫 現在品切中
定価924円(本体840円+税)

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この本の内容
目次

聖者たちが現代社会において果たす役割とは、
グローバルな世界とローカルな世界、
聖と俗、宗教と政治とを結びつけることである。
近代化の果て、世界は世俗化すると言われていたが、
現実には今、新しい形の宗教性が広がりつつある。
宗教の坩堝(るつぼ)・南アジアの聖者たちの姿から、
21世紀の世界のあり方が見えてくる。

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「聖者」とは特別な存在ではなく、ごく日常的な生活の延長線上に生み出され、また廃れていくものにすぎない。本書が扱っているのは、そうした聖者が日常的にきわめて重要な地位を得ている南アジアを舞台とした物語であるかもしれないが、それは決してこの地域だけの「奇妙な」慣習などではない。我々は、日本を含めた現代社会の至るところで、このような現象に通じる何かを見出すことになるのだから。(「はじめに」より)

はじめに

第一章 近代化と聖者
近代化の果てに、世界はふたたび宗教化する/個人化する宗教/南アジアの近代化と宗教倫理/地上に降りた神/近代化以降の聖者崇拝/聖者の条件

第二章 クマリ──生ける女神の伝統は現代を生き残れるか
ネパールの伝承から/クマリという制度/クマリの条件/クマリの生活/退位の時/たくさんのクマリ/人権問題をめぐる議論/元クマリの告白/ラシュミラの見るクマリの今/激動のネパール/クマリたちの未来

第三章 ダライ・ラマ一四世──活仏はチベットと世界をつなぐ
二〇〇八年のチベット騒乱と北京オリンピック/転生ラマの歴史/ダライ・ラマ一四世の即位/チベット動乱とダライ・ラマの亡命/ダラムサラの亡命チベット人/カルマパ一七世亡命の衝撃/チベット人ナショナリズムの形成/変わりゆくチベット人/欧米におけるチベット仏教ブーム/フリー・チベット/ダライ・ラマ一四世の聖性/近代を超える聖者

第四章 サティヤ・サイ・ババ──奇跡を起こす地上の神
サイ・ババ・ブームの終焉/シルディの街にやってきた聖者/シルディ・サイ・ババの思想──イスラームとヒンドゥーの間で/サティヤ・サイ・ババの誕生/教団の発展/サイ・ババの奇跡/サイ・ババの教え/告発された神/インド的聖者の特質/二人のサイ・ババ信仰の未来

第五章 アンナー・ハザーレー──世俗の活動家が宗教的カリスマを帯びるまで
人から聖者へ/農村で生まれる/軍隊での転機/ヴィヴェーカーナンダの影響/貧しき村に帰る/禁酒運動/生まれ変わった村/汚職廃絶運動の開始/ロークパル法私案提出──四月の反汚職運動/再度の断食──八月の闘争/ハザーレーに対する批判の声/母なる女神インド/ハザーレーという聖者

第六章 ババ・ラームデーヴ──人騒がせなヨーガ・マスター
聖者と政治/深夜の逮捕劇/逮捕劇のその後/修行の日々/全国的な知名度を得る/インドにおけるヨーガの伝統/ラームデーヴのヨーガ/人気の秘密/世間からの評価/ラームデーヴは聖者なのか

第七章 アンベードカル―─菩薩となった憲法の父
不可触民の問題/被差別民から政治家へ/ガンディーとの対立/改宗──新仏教徒の誕生/アンベードカルの思想/佐々井秀嶺と仏教復興運動/マハール・カーストの新仏教運動
菩薩となったアンベードカル/新世代の仏教徒たち

おわりに

参考文献