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和食は福井にあり

和食は福井にあり

鯖街道からコシヒカリまで

だし文化(昆布)、京へ魚を送るための加工技術、コシヒカリの発明、永平寺の精進料理など、和食の原点はすべて福井に詰まっている!

向笠千恵子
シリーズ・巻次 平凡社新書  766
出版年月 2015/02
ISBN 9784582857665
Cコード・NDCコード 0277   NDC 596.21
判型・ページ数 新書   256ページ
在庫 在庫あり
定価880円(本体800円+税)

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この本の内容
目次

自然や地形が変化に富む福井は、日本の縮図のような県。ここには日本の食文化も凝縮されている。越前がに、うに、へしこ、米、そば、日本酒、伝統野菜、そして和食を支える昆布……。鯖街道や北前船の伝統、豊かな海と山の幸、郷土料理と地産地消、さらに食を支える伝統技術が脈々と受け継がれている。この一冊で和食の原点息づく“福井”を味わい尽くす! 「この県には和食を彩るすべてがそろっている」(本文より)

《目次》
まえがき 和食の原点がわかる「考福学」
人類の進化と料理/魚を煮た縄文土器/鳥浜貝塚の豊かな食生活
米の自給達成後の食/無形文化遺産「和食」/和食の危機的状況
和食は「ご飯、漬けもの、汁、おかず」/おいしさは「調味料」と「だし」
行事と食のおいしい関係/海と山の食の交流/和食文化は福井にあり
第1章 御食国・若狭の海幸と鯖街道
小鯛のささ漬け、若狭ぐじ、若狭かれい
都の食を支えた御食国/一塩、一干しの「若狭もの」/小鯛のささ漬けの繊細味
美味の最高峰、若狭ぐじ/“一塩”から生まれる美味
皇室に献上される若狭かれい/なにげない魚をうまく干す
地元で愛され、京都で珍重された鯖文化
「生き腐れ」の鯖の美味/山があるから海が育つ/食文化の道、鯖街道
「京は遠ても十八里」/鯖街道の熊川宿/鯖のぬか漬け、へしこ
へしこ名人、女将の会/発酵した美味、鯖のなれずし/大野市の半夏生鯖
勝山市北谷の鯖のなれずし/福井県のこだわり鯖文化
第2章 和食を支える「米」と「大豆」
「お米の国」に根づいた和食文化
人と人をつなぐ米/コシヒカリの登場/福井の自然と米づくり
田植え前から華やかな「れんげ米」/有機肥料で育てる「田んぼの天使」
究極の減農薬栽培「おしどり米」/米から始める食育
三方小学校の「ゆりかご米」/米から生まれる麴食品群/「わら」「もみ」の文化
米をおいしく食べるための大豆文化
米と大豆は補完関係/安全志向の味噌が人気
青大豆に魅せられた人生、大豆菓子をつくる母娘
第3章 和食の基本は海山里の新鮮美味
和食のおかずは野菜が中心
焼き畑から生まれる山の幸「河内赤かぶら」「杉箸アカカンバ」
救荒作物の意外な美味/焼き畑で生き残ってきた赤かぶら
敦賀特産の杉箸アカカンバ/野性味のある質朴なおいしさ
里山の竹の子を支える定年団塊世代
水が育てる里の幸「勝山水菜」
日本人の幸せ──水の幸/和食は水でおいしくなる/水をたっぷり吸った青菜
年に五カ月だけもたらされる海の幸「越前がに」
十一月六日の解禁日/かにの揚がる港、三国/大胆に繊細に食べるのがコツ
越前漁港のかに/湯気もうもうのなかでゆでる
地産地消の知恵──石塚左玄と杉田玄白
福井から始まった「食育」の思想/食育の元祖、石塚左玄/杉田玄白の養生七不可
地元の食べものにふれる若狭町の子供たち/御食国・小浜のユニークな食育
第4章 昆布ロードとだし文化
北前船から始まった日本縦断の食文化ロード
世界地図から見た若狭湾/日本海文化をつくった北前船
身欠きにしんの食文化/乾物の保存度、便利度
和食の基本はだし、だしの基本は昆布にあり
縁起物の昆布/北海道からの長い旅路/昆布で栄えた町・敦賀
敦賀の昆布商人/昆布屋のだしのとりかた
昆布だしのコツは時間をかけること/おぼろ、とろろ、白板/乾物のだし素材
第5章 和食の贅沢をとことん楽しむ
いわしが好きな紫式部/和食の原点・本膳料理
料亭・開花亭で堪能する花柳界の美食
江戸時代のレストラン/楽しい食と場を提供する料亭
和食は自然のミニチュア/昆布だしのすき焼き/ごちそうは「いのちの洗濯」
美食のきわみ、「越前仕立て汐うに」
殿様の贈答品/汐うにはつまようじで日本酒と
刺身、すしは、全日本人のごちそう
刺身が大好きな日本人/福井ですしを味わう
美しいすし職人の動き/刺身は新鮮なほうがおいしいか
和食がもっとおいしくなる日本酒
日本酒づくりは水が決め手/変化する日本酒づくり
つくり手の息づかいが感じられる酒/酒好きの幸せ・利き酒
ますます健康に、薬用酒を楽しむ
第6章 現地で食べると、郷土料理はもっとうまい
融通無碍の和食食材「あぶらあげ」
福井の厚揚げ消費量は日本一/あぶらあげを焼いて食べる
煮物がいちばんのあぶらあげ/いつでもどこでも「あぶらあげ」
シンプルがおいしい「越前おろしそば」
侃々諤々のおろしそば論争/そば粉のおいしさは随一/個性豊かなおろしそば
一乗谷のおもてなし伝承料理「朝倉膳」
朝倉氏の祝宴料理を再現/忘れられない「麩」の辛子あえ
「上庄里芋」はもちもちねっとり
煮っころがしを食べずに大野は語れない
小粒に価値あり「三年子 花らっきょ」
砂地から生まれる小さな宝石
越前うにを彷彿させる「山うに」
うにそっくりの山育ちのペースト
梅干しにも梅酒にも「福井梅」
若狭町の特産梅「紅さし」と「剣先」
やわやわ真冬の「水ようかん」
水ようかんは冬のお菓子
第7章 精進料理、祭り料理の伝統
永平寺の精進料理
福井の曹洞宗と浄土真宗/大本山永平寺の精進料理
心をつなぐ報恩講料理
仏事のお斎、報恩講料理
奇祭「ごぼう講」のごぼう料理
三百年つづくごぼう料理
三国祭のお決まり料理と酒まんじゅう
三国祭ならではの行事食
第8章 和食を支える伝統工芸と技術
越前打刃物──切れる包丁と切れない包丁
越前焼──実用にまさる焼きもの
越前漆器──漆器はあたたかい器
越前和紙、若狭塗箸

あとがき
参考文献

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