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韓国 内なる分断

韓国 内なる分断

葛藤する政治、疲弊する国民

日本との関係にも強い影響を及ぼす、韓国国内の激しい権力闘争。その根底にある保守派と進歩派双方による「南南葛藤」の実態を描く。

池畑 修平
シリーズ・巻次 平凡社新書  917
出版年月 2019/07
ISBN 9784582859171
Cコード・NDCコード 0231   NDC 312.21
判型・ページ数 新書   264ページ
在庫 在庫あり
定価968円(本体880円+税)

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この本の内容
目次

文在寅政権になって再燃した徴用工訴訟問題、慰安婦問題における日韓合意の骨抜き、

国会議長による天皇謝罪要求発言……。

日韓関係は「国交正常化以降で最悪」といわれるが、

その背景には、韓国国内の保守派・進歩派による深刻な葛藤が横たわっている。

NHK前ソウル支局長が、韓国の内なる「南南葛藤」の深層を描く。

《目次》
はじめに
序章 文在寅は「反日」なのか
「国交正常化以降では最悪」の日韓関係/保守派一掃のメッセージ
深まる韓国社会の分断/保守派打倒の永続化

第一章 韓国の内なる闘い──保守派・進歩派の「南南葛藤」
朴槿恵の逮捕/勝負に出た国会演説/「帝王的大統領」の力の源/帝王の儚さ
深刻な「南南葛藤」/多岐にわたる対立軸/葛藤に終始する政界、疲弊する国民
国会の機能不全/前政権に対する徹底した否定/憲法改正という「ブラックホール」
セヌリ党の斜陽/文在寅は北朝鮮と通じていた?/朴とセヌリ党のなりふり構わぬ攻撃
「崔順実ゲート」をめぐる激震

第二章 朝鮮半島分断の現在
準戦時態勢の分断国家/「ポケモンGO」が韓国で遅れた理由
「戦争になればソウルは火の海に」/「軍事革命」から「漢江の奇跡」へ
経済発展の犠牲にされた民主化/「南山」と恐れられた面々/人民革命党事件
ソウル市長は「小統領」/「君のための行進曲」/光州事件
軍の記録に残らない「華麗なる休暇」/共産主義者の蔑称「パルゲンイ」
北朝鮮による青瓦台襲撃未遂事件/南北で異なる統一のイメージ
北朝鮮問題の本質は南北の体制間競争/光州事件がアジアに与えた影響

第三章 保守派のジャンヌ・ダルク
朴槿恵の「役割」/初めて五〇%を超えての大統領当選
「非正常の正常化」/民主労総への強硬姿勢/統合進歩党、解散へ
木棺地雷で南北が一触即発/カメラの死角で北朝鮮が謝罪/「血で結ばれた友誼」に楔
開城工業団地とTHAAD/政権に批判的な文化人のブラックリスト
李明博政権から引き継がれた慰安婦問題/慰安婦問題合意とGSOMIA締結
デモ参加者をISと同一視/国連で「セマウル運動」
第四章 「秘線」と「ロウソク革命」
朴槿恵、凋落への引き金/韓国のラスプーチン/裏の参謀「秘線」
「冷たく心変わりしていく現実」/保守派に対する裏切り
「帝王的大統領」の弊害/朴の退陣を求める「ロウソク民心」
文在寅にとっても挽回のチャンス/「怒れる韓国人」たちの謎
「金の匙、泥の匙」/「広場民主主義」の功罪/各国共通のフェイクニュース
憲法の上に「国民情緒法」/「大統領・朴槿恵を罷免する」
北朝鮮メディア、異例の速報/「北風」にも負けず

第五章 文在寅政権が起こした地殻変動──保守派打倒の永続化
「積弊清算」という大義/光州事件の再調査/李明博に対する包囲網
監査を繰り返す理由/「未来のための告訴」/大統領経験者二人が収監へ
捜査の動機は正当だったか/社会を席巻する「積弊清算」/大韓民国の建国はいつなのか
抗議デモ犠牲者の死因まで「交代」/コーヒーを手に青瓦台を散策という演出
「保守派打倒の永続化」の含意

第六章 変調、そして日韓激震
「ロマンスか、不倫か」/人事聴聞会の粗探し/「労働者寄り」のJノミクス
「太陽政策」再び/北朝鮮への憎悪を同情に「昇華」/北朝鮮に「弱腰」という政権批判
挑発に慣れている国民でさえ/金正恩「新年の辞」のサプライズ
「平和、新たな始まり」という劇場/念願の初訪朝/葛藤に沈む対日外交
「反日」ではなく保守派つぶし/「こうした立場で歴史問題に臨んでいる」
そして日韓関係は壊れた/新たな帝王の陰り/「南南葛藤」が鎮まるとき

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