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江戸東京野菜の物語

江戸東京野菜の物語

伝統野菜でまちおこし

高度経済成長で失われた「江戸・東京の味」の復活を通じて、著者が取り戻したのは、江戸と東京の「野菜」と「歴史」だった。

大竹 道茂
シリーズ・巻次 平凡社新書  937
出版年月 2020/03
ISBN 9784582859379
Cコード・NDCコード 0261   NDC 626
判型・ページ数 新書   264ページ
在庫 在庫あり
定価990円(本体900円+税)

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この本の内容
目次

粋な江戸っ子は、真っ白いものが大好きだった。
当然、白い飯は大好物。江戸も中期になると、白米は武士だけでなく町人にも食べられるようなった。
ここで起こった問題が「脚気」である。「江戸患い」ともいわれたこの病の解消のため、野菜作りが奨励され、参勤交代でやってくる侍も各地の野菜を持ち込んで栽培を始めた。
美味い野菜は江戸市中にも出回って特産品となり、やがてタネは江戸土産となる。
江戸は野菜の大集積場だったのだ。野菜の栽培は昭和の半ばまで続いたが、高度経済成長で宅地化が進み、商品としての野菜(収穫高が高く、揃いがいいなどの特徴のある一代品種)が主流になって、栽培されなくなった。
畑とともに、江戸から受け継がれてきた野菜も、作る人・食べる人の暮らしや歴史も忘れられていく──この現状に歯止めをかけるべく、立ち上がったのが著者だ。以後、野菜と文化を守るため、生産者や地域の人々、学校やメディア、自治体、NPOなどの力を得ながら、「伝統野菜の復活」と「地域の活性化」に奮闘し続けている。本書はその記録である。

   
   ◎著者が10年にわたり、毎日更新しているブログ
      ↓「江戸東京野菜通信」 

          http://edoyasai.sblo.jp/

 




《目次》
口絵8ページ

序 章 “伝統野菜”の復活にかける

第1章 失われた野菜を探して──発見の物語
1 捜索隊が大活躍!──〈早稲田ミョウガ〉
2 復活のトップバッター──〈品川カブ〉
3 2つのルートで発見──〈千住一本ネギ〉
4 江戸東京スイーツの東西横綱──〈本田ウリ〉〈小金井マクワ〉
5 テレビを見ていたら、発見──〈城南小松菜〉
江戸東京野菜の魅力を語る 1
井之口喜實夫さん 野菜生産者
三國清三さん オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ

第2章 日本を旅した野菜
1 東北から里帰り──〈青茎三河島菜〉
2 はるばる美濃から来た──〈鳴子ウリ・府中御用ウリ〉
3 京野菜「堀川ごぼう」のもとになる──〈滝野川ゴボウ〉
4 甲斐から伝わる──〈おいねのつる芋〉〈治助イモ〉〈白岩ウリ〉
江戸東京野菜の魅力を語る 2
宮寺光政さん 江戸東京・伝統野菜研究会/野菜生産者
福島秀史さん 江戸東京野菜コンシェルジュ協会理事/多摩・八王子江戸東京野菜研究会代表

第3章 江戸と今をつなぐ
1 きっかけは将軍綱吉──〈練馬ダイコン〉
2 吉宗が名づけた「小松菜」──〈ごせき晩生小松菜〉
3 2つのショウガの産地──〈谷中ショウガ〉〈八王子ショウガ〉
4 江戸前の握りには欠かせない──〈奥多摩ワサビ〉
5 村人を飢えから救う──〈のらぼう菜〉
江戸東京野菜の魅力を語る 3
渡戸章さん 野菜生産者
ほしひかるさん 江戸ソバリエ協会理事長

第4章 大都会で生まれた野菜
1 全国の生産をリードする──〈東京ウド〉
2 世田谷で2度復活──〈伝統大蔵ダイコン〉
3 緑と白の粋な色合い──〈馬込半白キュウリ〉
4 大玉で病気に強い──〈下山千歳白菜〉
江戸東京野菜の魅力を語る 4
野永喜三夫さん 日本橋 ゆかり 三代目 和食料理人
上原恭子さん 江戸東京野菜コンシェルジュ協会理事/野菜ソムリエプロ

第5章 学校の畑でよみがえる
1 小学校の記念事業で復活──〈寺島ナス〉
2 タネのリレーが始まった──〈砂村一本ネギ〉
3 地域とNPOの連携で復活──〈内藤トウガラシ〉
4 都庁の御膝元で栽培──〈内藤カボチャ・角筈カボチャ・淀橋カボチャ〉
江戸東京野菜の魅力を語る 5
佐藤勝彦さん 押上よしかつ 店主
成田重行さん 内藤とうがらしプロジェクト リーダー

第6章 サポーター広がる
1 応援団ができて復活!──〈亀戸ダイコン〉
2 人から人に託す──〈砂村三寸ニンジン〉〈馬込三寸ニンジン〉〈滝野川大長ニンジン〉
3 目黒のタケノコと子規の恋──〈タケノコ〉
番外編 1 時代を超えたダイコン──鎌倉大根
番外編 2 大嘗祭と江戸東京野菜

江戸東京野菜一覧
あとがき