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渋沢栄一

渋沢栄一

変わり身の早さと未来を見抜く眼力

「日本資本主義の父」と評される渋沢栄一。経済学者としての視点を中心に、さまざまな角度からその真の姿に迫る。

橘木 俊詔
シリーズ・巻次 平凡社新書  959
出版年月 2020/11
ISBN 9784582859591
Cコード・NDCコード 0223   NDC 289.1
判型・ページ数 新書   240ページ
在庫 在庫あり
定価968円(本体880円+税)

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この本の内容
目次

渋沢栄一の人生は波乱万丈そのものである。農民から武士となり、尊王攘夷論者でありながら幕臣に転身。フランス滞在で経済発展の基礎を学び、大蔵省の役人も経験する。その後は民間経済人として、銀行経営や数多くの企業の設立に携わり、「日本資本主義の父」と賞賛される大人物となるのだ。そんな渋沢をいま冷静に再評価するとき、新たな一面が見えてきた。

社会福祉や教育界への関与、植民地での経済活動などあらゆる角度から、渋沢の真の姿を改めて浮き彫りにする。



《目次》
はしがき

序 章 渋沢栄一の生涯を振り返る
生い立ちと子ども時代
幕末を生きた青年期
フランス滞在記
静岡での生活と大蔵省の役人として
民間経済人になる

第1章 大きな影響をもたらした「大蔵省」時代
「官」の持つ絶大な権力を知る
日本で初めて公債を発行する
均衡財政を堅持する
複式簿記の導入を推し進める
大蔵省で学んだ良きこと悪しきこととは

第2章 フランス滞在で学んだこと
2回にわたるパリ万国博覧会
空想的社会主義者アンリ・ド・サン゠シモン
ミシェル・シュバリエ
栄一がフランスで具体的に学んだこと

第3章 銀行業を中心にした経営者として
第一国立銀行を設立する
国立銀行条例の改正
銀行業が発展した時代
恐慌による紙幣回収と金本位制の弊害
なぜ株式会社方式と銀行が重要であったか
財界指導者としての役割と取引所の開設
岩崎弥太郎との争い
銀行業以外の企業設立と経営

第4章 弱者の味方だったのか
経営側が強く労働側が弱かった時代
栄一はなぜ、一転して「工場法」に賛成したのか
中立的な立場をとった労働組合への対応
協調会を設立して労使の協調を図ったが
卓越した寄付金集めと東京養育院
評価の分かれる中央慈善協会での会長職
武藤山治と大原孫三郎

第5章 教育への取り組み
教育者か、学校設立者か、学校管理者なのか
栄一の思想の根底には
「道徳経済合一説」という独自の考え方
『論語と算盤』
江戸期と明治時代初めの商業教育
商法講習所の創設
商法講習所での教育と経営形態
矢野二郎という人物
明治時代の女子教育
女子教育の思想
巌本善治と成瀬仁蔵
成瀬仁蔵・渋沢栄一と日本女子大学校
どのような書物に影響を受けてきたか

第6章 経済政策と民間外交
鉄道業における民か公か
軍事費の拡大には反対であった栄一だが
韓国併合の歴史
植民地主義者とみなされても仕方がない
保護主義への転換
たび重なるアメリカ訪問
英独と仏をどう思うようになっていたか

あとがき
参考文献

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