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はじめての江戸川柳

はじめての江戸川柳

「なるほど」と「ニヤリ」を楽しむ

小栗 清吾
シリーズ・巻次 平凡社新書  625
出版年月 2012/01
ISBN 9784582856255
Cコード・NDCコード 0292   NDC 911.45
判型・ページ数 新書   248ページ
在庫 現在品切中
定価880円(本体800円+税)

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この本の内容
目次
かわいい嫁に、いじわる姑、息子は道楽者で……。江戸っ子たちが生き生きと生活する、そんな情景が、古川柳には満載! 絶妙な《読み解き指南》で、「ちょいと、江戸まで!」 「サラリーマン川柳」が流行ったり、お茶の缶に載るほど、川柳は盛んだ。だが、オリジナルの「江戸川柳」のほうはどうだろうか? 『柳多留』を開いてみても、文字がぶっきらぼうに並んでいるだけで意味がわからない……のではなかろうか。だが、ちょっと待ってほしい。川柳は江戸っ子たちがダテにつくってきたものではない。その面白さは、適切な指南役がいればわかるものなのだ。
江戸川柳の読み解きには、4つのポイントがある。(1)江戸の言葉、(2)江戸の風俗、(3)川柳作者と同じ知識、(4)独特の表現や技巧、がそれだ。本書では、戦前から続く古川柳研究会の会員である著者が、江戸川柳の鑑賞を通して、その読み解きのコツをわかりやすく教えてくれる。
意地悪な姑と愛らしい嫁、そして暢気な道楽息子など、どこか懐かしい人々が登場し、「人間って、そんなもんだよね」と、思わず心がなごんでしまう一冊。
『はじめての江戸川柳──「なるほど」と「ニヤリ」を楽しむ』小栗清吾=著

第一章 「江戸川柳」をご存じですか?
エドガワヤナギ
江戸川柳は難しいか
四つのポイント
(1)江戸の言葉  (2)江戸の風俗  (3)川柳作者と同じ知識  (4)独特の表現や技巧

第二章 誰でもわかる面白い句
人間ってそんなもんだよね
女房というものは……
馬鹿なところが可愛らしい

第三章 江戸川柳のスターたち
姑──今も昔も変わらない!?
仲人──知られざる結びのテクニック
嫁──かわいいばかりではない
初々しい嫁  いびられた嫁  松ヶ岡
御妾──得意技はおねだり
下賤の生まれ  おねだり  妾が兄  増長の一途  国家老  小便組
壱人者──気楽さばかりじゃない
掛人──肩身の狭い居候
信濃者──なぜかよく食べる
伊勢屋──ケチだから金はあるけど
樽拾い──町内のお騒がせ者

第四章 年中行事のなかの江戸っ子
一月──まだらに夜が明ける
二月──猫が悔やみに来ぬばかり
三月──あれは三月四日まで
四月──小判を辛子みそで喰い
五月──これはこれはとしゃれて乗る
六月──鼠もめんは象になり
七月──抜き身のぶんは右へきれ
八月──月見と聞いて死ぬ覚悟
九月──なんにも立てぬ節句なり
十月──暮れまでのばす大社
十一月──男を尻に敷きはじめ
十二月──これから嘘をつくばかり

第五章 江戸っ子の仕事ぶり
呉服屋──「なでなで」と声を掛ける
生薬屋──得体の知れない物を干す
居酒屋──フグやタコを肴に
染物屋──紺屋の「あさって」
質屋──百で四文の利息
両替屋──爪で弾いて曲げてみて
湯屋──痴漢も板の間稼ぎも出没
髪結床──若者のたまり場
大工──晴れの舞台は上棟式
米搗き──重労働で大食
鋳掛け屋など──見物の子を退けながら
医者──名医も藪も堕胎医も
僧侶──現世の快楽にいそしむ

第六章 歴史と伝承を詠む──詠史句
人麿は枕時計の発明者!?
絶世の美女から壇の浦まで
風流と尾籠のあいだ
中国の故事を詠む

第七章 江戸の別世界 吉原
一、 吉原への道
二、 仙女のすむ国を歩く
三、 吉原で働く人々
遊女  新造  禿  遣り手  若い者  御針
四、 遊女の生活と手練手管
親孝行  年明き  身請け  脱廓  嘘・無心・手管
五、 吉原で遊ぶには
初会  裏  三会目  総花  総仕舞  振られ客  貰い引き  居続け
六、 遊客いろいろ
息子  亭主  浅黄裏  僧侶  老人  素一分  素見物  大一座
七、 吉原の一日と年中行事
昼見世  夜見世  清掻き  引け四つ  後朝  仲の町の桜  玉菊灯籠
八朔  月見  後の月

第八章 破礼句 「男女のこと」を笑い飛ばす
人間臭さの可笑しみ
初々しいのと、ベテランと
奥女中や後家さんは……
出合茶屋で……
人目を避ける麦畑
陰間を相手に
経験の乳母、色好みの下女
あの絶世の美女も

第九章 難句テスト30

第十章 江戸川柳について
「前句付」の流行
『柳多留』で大きく進展
さらに楽しむための参考書

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